「なに描いてるの?露伴ちゃん」
終業式帰りのちょうどお昼の真ん中くらいの時間、ぽたぽたと垂れてくる汗を拭いながら歩いていると誰もいない公園のベンチで男の子がスケッチブックに向かってなにかを書きなぐっていた。
「鈴美お姉ちゃん」
露伴と呼ばれた男の子はチラッと少女の方を見て目の前にある木を指差した、正確には木ではなくそこにとまっている蝉を指差した。「蝉?へー露伴ちゃん絵が上手ね」
「そんなことないよ、形を描くのは誰にだって出来るし……この蝉リアリティが足りないんだ」
「リアリティか……難しい言葉知ってるね、露伴ちゃんは絵が大好きなんだ」
露伴が首を縦にふると額から汗がスケッチブックに垂れた。
「もっと上手く描けるようになりたい」
「将来は有名な漫画家さんかな」
そういうと少女は胸元からメモ帳を取り出し新しいページを開いて露伴に渡した。
「……なに?」
「ここに露伴ちゃんのサイン頂戴よ、有名な漫画家さんになるならサインいるでしょ」
「僕、漫画家になるなんて言ってないのになに勝手に言ってんの」
「じゃあ練習だと思って書いてよ、損にはならないし」
少女の笑顔に露伴はしぶしぶメモ帳に拙い文字でろはんと書いた。「ありがとう、将来の大先生のサイン大事にするからね」
そう嬉しそうに告げられた露伴は恥ずかしい様ななんとも言えない表情をして目線を反らせた。


幼い頃の落書き

--------
露鈴可愛いよ露鈴……、ノマcpも好きです
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -