VS視聴者
ゲーム内容は、弓道を用いたもの。点数が書かれている風船を射止め、点数が高かったチームが勝ちというシンプルなものである。風船は上下に動いており、所謂動く的だ。
「Knights teamからはレオさんです」
「わははは!おれにまかせろ!」
Knightsからはレオくん。うん、司くんがどっちかがくると思ってたから予想通り。レオくんの実力も司くんの実力も弓道部で知ってるからね。
「対するトリスタチームからは、」
「はーい!あたし、水城優希がやります…!」
「やっぱり、優希がきたな〜!」
「よろしくね、レオくん」
トリスタチームからは、あたしが出ることに。Knightsサイドもあたしが出ることは予想できてたみたいで、レオくんは楽しそうに笑っている。
「優希と対決だ!」
スタジオ内はゲーム内容に合わせてセッティングされ、レオくんと並んであたしは弓を構える。
パンッ
「優希ちゃんナイスっ!」
狙った的を当てて、スタジオ内に歓声が響く。横をチラリと見れば、レオくんはさっきまでのニコニコした雰囲気とは一変して、真剣な表情に切り替わっている。同じように弓を構えて、矢を放てばレオくんも同じ点数の風船を割った。
「どっちも引かない勝負だな」
「優希も弓道やってたみたいだからね〜」
耳に入ってくるスタジオ内の会話。レオくんとこうやって弓を引くのは久々だった。前は、弓道部にいるころのレオくんについていって、一緒にやらせてもらったこともあった。その時も、割と接戦で勝負の決着はなかなかつかなかったな…。
「懐かしいな」
「うん、そうだね」
あの時も弓を引いたのは久々だった。里にいた頃、自給自足の生活で基本狩りは男の人たちの仕事だったけど、里にいる以上の技術として弓引きの練習をした時もあった。と、いうよりは、狩りに行く燐について行きたくてワガママを言ってたのがきっかけな気もする。
燐と一緒に練習して教わってできるようになったから、久々に弓を持った時も少しやれば感覚は戻ったし、弓道みたいな動かない的は簡単に感じられた。
「弓道の試合だと型があってめんどくさいけど、こういうのは変に気を使わなくて楽だな〜!」
「ふふっ、レオくんらしいね。でも、レオくんには負けないよっ」
「わははは!それは俺のセリフだぞ!」
「燐音くんたち、何観てるんすか?」
「Tricksterの番組ですよ。ゲストがKnightsと優希さんらしいです」
カフェシナモンで番組を見ていれば、休憩にやってきたニキが不思議そうな表情を浮かべてやってきた。俺っちもこはくちゃんもテレビから視線を外さずにいれば、メルメルが代わりに答えてくれた。
「優希はん、上手いな」
「あー、よく俺らと一緒にやってたからなァ」
懐かしいな、と思って目を細める。テレビの中で和気藹々と笑う優希は昔と変わらない笑みでホッとする。
言うならば、ここに俺がいないのがちょっと面白くないけどな。
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