男の子と帰宅




あれから家に帰り着いてすぐにご飯の支度を済ませて、夕飯にしようと思った。けど、準備をしてる最中に、ガチャガチャとなる玄関。気づいた時には、扉は開いて燐がいつものように入ってきていた。その瞬間に、今日は予定があることを伝えるのを忘れていたと意識は天を仰ぐ。



「ねえ、優希の彼氏?」
「ァアッ?誰だよこのガキ」
「優希、こんな奴がいいの?」



二人は顔を見合わせるなり、表情は変わらないもののとても口が悪い。リンくんは燐のことを指差して聞いてくるし、燐は誰かもわからない男の子からの反応がもちろん面白くないようで、眉間に皺を寄せてあたしに聞いてくる。いろいろどうしような現状に正直ため息しか出なかった。



ご飯の支度をしながら、燐にリンくんの紹介と預かってることをそっくりそのまま伝えれば、「ふーん」とあまり興味なさそうにだけれど、納得してくれたみたい。「しっかし、最近のガキは生意気だなァ」なんて言うもんだから、リンくんに聞こえても困るし、「りーん」と呟けば、頬っぺたにチューされて誤魔化された気がする。



「そういやァ、今日一彩の奴に会ったンだけど、あいつまーたいつもみたいに大声で呼んできたンだよ。…ったく、本当勘弁して欲しいよな」
「そんなこと言って、本当は嬉しいんでしょ…?」



思い出したように出てきた話題は、日中私も会ったひーくんのこと。燐は口ではそういうが表情は笑っていて完全に照れ隠しなのは重々承知だ。本当、仲が良くてあたしにとっても大切な二人のこういう話はこちらまでほっこりさせてくれる。つい、自分の表情筋も緩んだことを自覚していれば、突然「バカみたい」と場に似つかない言葉がピシャリと耳に入ってきた。


「…リンくん」


テレビを見ていたはずのリンくんが気づけば後ろに立っていて驚いた、それ以上に彼から出た言葉に切なさを覚える。


「そいつ、優希も会ったあの弟でしょ。弟だから逃げたんでしょ」



燐は何も言わず、ただ静かに聞いているだけ。


「みんないつだって弟のことばっかだ、弟だって自分の気を引いてばっかり」



だからかもしれない、リンくんの言葉は止まらずにどんどん続いていく。




「すぐに泣いて、すぐに呼んで。周りだって弟だからって理由で甘やかしてさ」














「お前は何にイライラしてンだよ」


その瞬間、ピタリと時が止まったかと思った。あたしは内心ひやっとして、息さえも止まった気になる。燐はおそらく、気付いただろう。リンくんの溜めてたものに。リンくんは図星を突かれて、目を見開いて燐のことをマジマジと見つめている。燐の表情には優しさもなければ、ただあるのは無の表情だけ。



「弟って存在にやたら引っかかンじゃねぇか。ンだよ、弟が嫌なのかよ、何かしたのかよ」
「…な、にって…」
「テメェは弟が嫌いなのか?」

[ ]









×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -