コズプロ



※5周年衣装ネタ続き


あれから、泉くんと凛月くんはトリスタの真緒くんと真くんを見るなり、そちらに行ってしまった。まあ、いつものことだし二人なら大丈夫だろうと思って、ゆっくり過ごしていれば、レオくんが誰かを見つけたのか突然手を振り出す。


「おっ、シュウ〜!」
「なんだ、月永。貴様も来ていたのか」
「当たり前だろ〜?むしろ、シュウがいる方が驚いたぞ!」


視線の先にいたのは、二人でポツンと孤立して立っているValkyrieの宗くんとみかちゃんだった。ふん、と鼻で笑い「仕方ないだろう、事務所から強制参加と言われているんだからな」と呟く宗くん。うん、相変わらずでなにより。


「みかちゃん、楽しんでるかしら?」
「んあ〜っ、なるちゃん…!」


Valkyrieの二人のそばのテーブルには、ほぼ使われてはいない、きれいなままのお皿があって、あまり食べていないことが見てわかる。元々、食事に関しては泉くんたちとは違った意味で気にしてる二人だからな、と納得するしかない。


「優希ちゃんもこんにちはぁ〜、めっちゃおめかしして、一瞬誰だかわからへんかったわぁ」
「みかちゃん、こんにちは。ふふっ、今日はパーティーだから、ナルちゃんたちに綺麗にしてもらっちゃった」


みかちゃんは、さっきまで縮こまってたのに、ナルちゃんの顔を見るなり、少し緊張の糸が取れたのか表情が柔らかくなった。あたしにも気づいてくれて、ふわりと笑いかけてくれる。みかちゃんのこの柔らかい表情が実はあたしの癒しだったりする。


「ふむ。まあ悪くない」
「お師さん〜その言い方はあかんよ〜」
「シュウは素直じゃないからな〜」


宗くんは最初、全然真意が理解できなくて、苦手意識があったけど、レオくんみたいな芸術家って事を知ってから、自分の中でストンと入ってきたのが最初の頃の印象だった。Knightsと合同だったり、レオくんやナルちゃんとの交流もあって割と関わりが多い二人だから、今では顔見知りのアイドルの中でも割と話す方に入ってると、あたし自身は思ってたりする。



「そういえば、優希」
「どうしたの?」
「この前話していた衣装だが、デザインがまとまったから今度見に来るのだよ」
「本当?じゃあ、スケジュール確認するから、今度コズプロにお邪魔するね」


先日、宗くんに衣装の相談をしたのだが、そのデザインがもうできたと言う。さすがは宗くん。こだわりの強い彼だから安心してお願いしていたし、楽しみである。だって、Valkyrieを見ていても思うが、Valkyrieの世界観はとても独創的で美しい。そしてレオくんと宗くんは、お互いがお互いの刺激になる存在ってのも知ってるから、見ていて微笑ましさもある。


「その時に一緒に採寸するのだよ」
「へェ〜採寸つって、宗くんはなかなか大胆だなァ」


突然、この場になかった声が頭上より、あたしは違和感を覚える。目の前で、みかちゃんは「ひっ…!」って声を上げて、宗くんは眉間に皺を思いっきり寄せていた。突然の場の雰囲気の変化に、頭がついていかないまま、腰に違和感を感じて、視線を向ければ後ろから伸びている腕に抱きしめられていた。視線を辿って、後ろを見上げてみればすぐそこにあったのは、宗くんたちと同じ紺色のスーツを纏った燐がいた。


「り、」


名前を言いかけたあたしの唇を燐は人差し指で静止をかける。


「ふんっ、意味がわからないのだよ。天城、君こそ、そうやって他のアイドルに手を出すのは如何かと思うが?」
「きゃはは☆俺は運命の相手を常に求めてるからなァ、何度も繰り返せない至高のギャンブルが結婚!だから好きなんだよ」
「全く理解できないのだよ、相変わらず羽音のうるさい蜂だ。考え方が野蛮人すぎるのだよ」


完全に二人の会話に圧倒されて、あたしは黙って見てるだけになってしまった。けど、そっか、そういうことか…、と頭の中で整理する。燐はチラリとあたしに視線を目配せ、ニヤリと笑いながら目を細める。だから、あたしはそっと燐の胸を押し返した。


「そんなギャンブル理由で目をつけないでほしいな」
「へェ…言うじゃねェの」
「手を出すなら、あたしの騎士たちが黙ってないからね」


この時、そばにいたナルちゃんの困ったように浮かべた笑みとかレオくんのキョトンとした表情とか、少し離れた位置でこはくんと話していた司くんなんて、目を見開いて驚いていたけど、その場は上々な出来だろう。

だって本当に関係のない周りが「天城のやつ、馬鹿だな」とか「さすが、ニューディのお姫様」なんて声を口々にしているのが耳に入っていたから。


「そりゃ残念だァ」


なんてわざとらしくがっかりする燐の笑みを見て、あたしはクスリと笑った。

[ ]









×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -