スタプロ



※5周年衣装ネタ続き


「やぁ、楽しんでるかな」


Knightsのみんなも戻ってきて、立食を楽しみながら、いろんな人たちと挨拶をしたり簡単に雑談をしてを繰り返していたら、ここでまさかの天祥院英智くんのご登場だ。先ほどから、英智くんと言えば、いろんな人と変わる変わる挨拶をして忙しそうだなと思っていたところ。まさか向こうからこうやって来てくれると思わず、内心驚いたのが本音である。


「エッちゃんおつかれ〜」
「それなりに楽しんでるよ」
「それは良かった。優希ちゃんは?どうだい、立食だから疲れてないかな」
「うん、ありがとう。大丈夫だよ、料理も美味しいし」


あたしがヒールを履いていることへの配慮だろう。ドレスアップをしていて、立ちっぱなしだから、どうやら気遣ってくれたようだ。
仕事柄、ヒールを履く機会もそこそこあるわけで、得意ではないけれど、まあまだこのぐらいなら大丈夫ってのが現状だ。
あたしの大丈夫を聞いて、それは良かったとふわりと笑みを浮かべる英智くん。


正直、英智くんは未だによくわからないんだよな…。



「優希ちゃんのメイクは、二人がやったのかい?」
「そうだけど〜?結構本気出したからね、うちの優希、きれいでしょ」
「さすがだね、とてもきれいだよ」


さっきの薫くんや零くんといい、英智くんといい、サラリと言葉にするから、すごいなって思う。まあ、普段褒めをあまりしない泉くんも今回は自分がメイクに携わっていることもあり、英智くんのお褒めの言葉を聞いてご満悦そうでなにより。


「やっぱり、見れば見るほど、優希ちゃんはスタプロに欲しい人材だなって思うよ」
「っごほっ」
「あらあら、大丈夫…?」
「ちょっと、エッちゃんが変なこと言うから、優希が咽せたでしょ〜」


唐突に出て来た言葉に思わず動揺してしまい、飲んでいたカクテルが気管に入って咽せてしまった。横にいたナルちゃんが心配してくれて、凛月くんはいつものやる気のないトーンで英智くんを咎める。


「悪かったね。でも、別に変なことではないし、これは優希ちゃんにも提案したことある話だからね」
「ハァ?それ初耳なんですけど…!」


ちょっとど〜ゆ〜こと?と言う副静音を込めた泉くんの視線が刺さって痛い。そう、このESができる時、各アイドルがそれぞれ所属事務所に入ることを決めていた時期に実は個人的に提案された話だ。けど、あたしはKnightsのみんなと離れるつもりもなければ、他の事務所も視野に入れてすらなかったわけで、その話は頂いたその日にその場で丁重にお断りしているので、安心してほしい。


まあ、ニューディ側に受け入れ拒否されてたら、別問題だったんだけど。



「スタプロにはALKALOIDもいるからね。提案した時はKnightsのいるニューディに行くのは、まあ予測できた話だけど、今は天城一彩くんもいる。つまりは、こちらでも頼れる身内がいるから悪い話ではないと思うよ」


英智くんの言う通り、たしかに今はひーくんがいる。

頼れる人がKnightsしかいなかったあの頃とは違う。


けど、



「あたしはやっぱりニューディがいいな、Knightsのみんなには頼ってばっかりだったけど、やっと一人でもこなせるようになってきたし。NEW DIMENSIONの水城優希として、身内関係なしに頑張りたい」


あの頃、アイドルをやろうと思った気持ちと今アイドルを続けたいと思う気持ちは違う。


Knightsのみんなのそばにいるなら、マネージャーって選択もあったけど、あたしがアイドルになった理由は、燐との思い出を断ち切りたくなくて、燐のそばにいると言っていた約束も守れなかった唯一の繋がりだと思ってたから。


けど、アイドルになって、たくさんの出会いもあって、おかげで燐にだって再会できた。

いつかはきっと辞める時が来ると思うけれど、それまではいろんなことを与えてくれたここに最後までいたいと思うから。


「それは残念だよ」
「ふふっ、全然残念そうじゃないように見えるけどね」
「そんな事ないさ。けど、あの頃と違って吹っ切れた表情をしているから、もう大丈夫そうだね」


そう言って英智くんはまた別の人たちのことろへ移動していった。

英智くんは、正直まだよくわからない。レオくんとか夢ノ咲での事をそばで見て来たから、まだ何とも言えない気持ちもあるけれど、彼は彼なりの想いがあるだろうから。


上に立つものとして。


「あんまり無茶しないといいな…」


ボソリと呟いたその声はきっと誰の耳にも届かなかっただろうけど、それでいいのだ。

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