ニューディ



※5周年衣装ネタ

とあるホテルの一室で、身に纏うのはオフショルダーのロングドレス、カラーはワインレッド。編み込みアップのヘアーアレンジをして、Knightsのみんなからもらったティアラをつける。


「そうやってみると、優希はホントお姫様だね〜」
「凛月くん…、そう言っても血はあげないよ」
「ちぇ〜優希のケチ」


鏡の前で身だしなみの確認をしていれば、背後から顔を近付けて耳元で囁く凛月くん。掴み所がないのは相変わらずだなと、あたしは笑うしかない。



「ほら、くまくん。優希の準備終わりそうなんだから、ちょっかい出さないで」
「そうよ〜、今日のパーティーのためにとびっきりキレイにしてあげてるんから!」


あたしの両端にいるのは、泉くんとナルちゃんのモデル組の二人。手元には様々な化粧道具を持っている。先ほどから身だしなみの最終チェックとして二人がメイク直しをしてくれるという贅沢な時間を過ごしているわけで、凛月くんの言う通りお姫様のようだな、と思った。


「しっかし、事務所ごとに決められたスーツってねぇ。それで優希のドレスも近い色に合わせられてるって訳」
「まあ、これはこれで良いじゃない。優希ちゃんのドレス、すごいセクシーでキレイじゃない」
「こんなに肌が見えてるの…正直落ち着かないけどね」


泉くんに、目を閉じてと言われたので、言われるがまま瞼を下ろしながら話す。普段からいろんな衣装を着ているが、それと今回のような正装はまた意味合いが違う。今着ているのはオフショルダーのロングドレス。肩は開けていて、背中も広く開いているため、里で育った時から肌を見せることは良くないと教えられていたからこそ、未だにその感覚は正直拭えない。




「はい、できたわよ」
「まあ俺たちにかかれば、こんな感じでしょ」
「さすが、モデルの二人…!すごい、ドレスに合わせて雰囲気が全然違う、自分じゃないみたい…」
「まあ、馬子にも衣装って言うしね」
「凛月くん…?」
「じょーだんじょーだん♪」


鏡に映るあたしは、普段の雰囲気と全く違うものだった。化粧は決して派手なモノではないのに、惹かれるものがある、…まあ、自分で言うのもおかしいのだけれど。こういう風に人を変えられるメイクができる人は、魔法使いなんじゃないかな、って思うけど、泉くんいわく、あたしは化粧映えする顔立ちらしい。でも、自分がするメイクではそんな実感しないから、正直ピンとこないというのが本音だったりして。


「優希準備終わったか〜?」
「優希お姉さま、so beautifulです!」


先に準備を終えていたレオくんと司くんもやってきた。先ほどまでレオくんはいつもの作曲タイムに入っていたというのに、パタパタと駆け寄ってくるから、多分それも落ち着いたのだろう。視界の端に、作曲して作り上げたであろう楽譜たちが無造作にまとめられて置いてあるのが見えた。


「セナ〜!優希と写真撮って!セナのスマホで!」
「ハァ〜?レオくん、自分の貸しなよ!」
「おれのどっかいった!」
「ちょっとぉ?!」
「あ、ごめん、レオくんのスマホなら、あたしのカバンの中にあるから出して…!」



楽譜の山に意識を取られていたら、泉くんとレオくんのいつものやりとりが繰り広げられていて、泉くんは「まったく…」なんて言いながら、あたしのカバンに入っていたレオくんのスマホを取り出してくれる。


「写真撮ったら、ルカたんに送る!」
「はいはい、ならかっこよくしなねぇ」


なるほど、写真を撮りたい理由は、るかちゃんかぁと納得。後であたしにも送ってもらおうと思っていれば、ふと目の前に差し出されるレオくんの手。


「お姫様、どうぞこちらに」


さっきまでの無邪気な笑顔は嘘みたいに、キリッとしたその表情はまるでステージで踊ってる時のような顔つき。Knightsの王として立ち振る舞ってたわけだから、レオくんのこういう切り替え方は、毎回すごいな…と驚かされる。あたしは言われるがまま、レオくんの手を取り椅子から立ち上がる。その流れは本当にお姫様のようで、気恥ずかしさもあるけど、あたしだって女の子だ。こんな風な扱いをされて、じわじわと胸の中に幸せが広がるのを感じた。



それから、レオくんと写真を撮ってもらったり、みんなで集合して撮ったり。最終確認をしてたら、時計の針はいい時間を指していることに気づく。


「そろそろ行きましょうか」


王の座を引き継いだ司くんは、去年よりもグッと大人びたなと実感する。頼もしくなった、Knightsのお兄ちゃんたちよりも、誰よりも一番成長したなと感じた。


「優希さん、今日は朱桜司がescortしますね」



こういう時に、お姉さま呼びから変わるのも司くんのずるいところだと思う。あたしは、司くんの腕に手を添えて、「よろしくお願いします」と呟き、みんなで部屋を後にした。




今日はこれからensemble partyの始まりだ。

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