愛してるの夜明け



※溢れる熱と愛してるの続き
※燐音視点



意識が浮上し瞼を開ければ、まず視界に入ったのは心地良さそうに眠る優希の表情だった。布団から覗くのは、優希の素肌で首元や鎖骨にいくつもの赤い痕があり、昨日の自分の行動が頭を過ぎる。

はぁ…と一つため息をつき、俺は思わず頭を抱えた。

昨日は完全にカッとなってしまった。メルメルに数日前より優希の周りの嫌な話を耳にしていた。優希のマネージャーに聞いて、仕事のスケジュールを教えてもらい、なるべく目を離さないようにしていた。こはくちゃんにも頼んで、色々と調べてもらい知ったことは胸糞悪いものばかり。


そして昨日、例の男が動くことを察知して、見張ってたのだが、ギリギリまで何もできなかったことが腑が煮えくり返る。ニキに止められたが正直頭に血が上っていたし、優希の言葉が無ければ、ニキも振り払って気が済むまでぶん殴っててもおかしくなかった。


けど、それを止められたのは、優希のおかげで。優希がまさか止めるとは思わなかったが、優希の言葉によって、頭が少し冷静さを取り戻せた。




そっからの後始末はこはくちゃんとメルメルに任せて、優希と家に戻ってきてきて、別の意味で冷静さを失うことになるなんて、俺もまだまだだな…と思う。

あまりにも気持ち良さそうに眠る優希に、胸の奥が燻られる。頬を撫でてやれば身を捩って擦り寄ってくる姿にまた別の意味で頭を抱えたくなる。そんな気持ちを誤魔化したくて、そっと口付けをすれば、ずっと閉じていた瞼がゆっくりと開く。


「…おはよ…」


掠れた声で微笑む優希。それはあまりにもほがらかな表情で、自分から思わず出たのは「昨日はごめん」という一言だった。


「…り、ん…、うれしかった、よ」
「優希…」
「燐は、気持ちよくなかった…?」


あまりにも率直な一言に思わず面食らったが、相変わらず俺のことばかり気にする優希らしさに、俺は笑うしかなかった。


「ン…、すげェ良かった…」
「ならよかった…」


頬をそっと撫でながら、そう答えると優希は嬉しそうにはにかんで、そっとまた目を閉じる。


昨日は無理をさせすぎたから、今日はもう少しゆっくりさせてあげよう。夢じゃなくて現実だったんだな、と幸せを噛み締めた。

[ ]









×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -