FesとSNS



今日はニューディ主催のイベント!
ニューディのアイドル集合!

優希の公式SNSに最新の投稿で上がるのは、NEW DIMENSION所属のアイドルたちが集合している写真だった。


優希とKnightsのメンバーと一緒に笑顔で写っているそれは、仲の良さが伝わる距離感。ギュッと密接しており、好きなファンからすれば微笑ましいもの。


そう好きなファンからすれば、の話である。




「ンだよ…近すぎじゃねェの」

カフェ・シナモンのテーブルに上半身をダランと乗せてスマホを見る燐音。その表情は、誰が見てもわかるぐらい、とても面白くなさそうなものを見る不貞腐れている姿。

ハァ…とため息をつきながら、イライラした雰囲気まで醸し出している。



「仕事だから仕方ないでしょう」
「ンなの、わーってるわ。ただよォ…いっちいち距離近すぎンだよ、コイツら」


そう言って、持っていたスマホをテーブルにバタンと音を立てて手放せば、本を読んでいたHiMERUの視界に、自然とスマホの画面が入ってくる。


「彼らに関しては今に始まった事ではないので、気にしてても仕方ないのでは」
「ァアッ、?だったら、俺っちとの写真だって上げて見せつけてェわ」
「やめてください、それは炎上します」


燐音と優希の関係を知っているのは、Crazy:B、Knights、弟の一彩ぐらいだろう。なので、HiMERUの言う通り、突然燐音と優希の写真が上がったりしたら炎上間違いなしだ。片やMDMで渦中だったCrazy:Bの天城燐音、片やKnightsと親交が深く活動を広げ始めている水城優希。系統も売り出し方も話題性も違う両者だからこそ、スキャンダルとして取り上げられる訳にはいかない。HiMERUは表情を変えず、再度視線は本に戻して口を開く。


「…第一、この仕事している以上、束縛なんて無理な話です」
「別にそんなんじゃねェっしょ、」


燐音のその声はあまりにも落ち着いており、伏し目がちに「ただ…」と言葉を紡ぐ。


「俺っちが巻き込んだようなもんだからなァ…、この業界だっていろいろあんだろ…、それが不安なんだわ」
「だからこそ、彼らは優希さんの傍にいるのでしょう。名前の通り、騎士として」
「騎士だったら、ンなことするかよっっっ」


そう言い放ちながら、またもスマホに出した画面は、優希が後ろから抱きつくようにいるレオ、手前に寄り掛かるようにいる凛月にサンドされて仲良くピースしてる写真。まるで、小さな兄弟の戯れのような図である。


「仲がよろしいのでしょう」
「納得いかねェ」


何を言っても不貞腐れる、面白くなさそうな言葉を紡ぐ燐音に、キリがないとHiMERUはため息をついた。



ピコンッ



不意に聞こえる更新音。その音の発信源は燐音のスマホであり、だらしなく項垂れる燐音はまたポチポチとスマホをいじり始める。



「ッ!」


もはや、相手にするのも疲れるのだが、ここでほっといても埒があかないため、HiMERUは仕方なしにまた燐音に視線を向ければ、完全にテーブルに上半身をぶっ潰している燐音の姿。手元のスマホをまた見てみれば、そこには優希が何やら飲み物を持っているではないか。


(なるほど…)


HiMERUは一目見て納得した。優希はただ飲み物を持っているわけではない、その両端には一緒に同じドリンクを持っている司、そして完全にその場に打ち解けている同じユニットメンバーである桜河こはくの姿があった。正しくはDouble Faceとして参加しているわけだが。Crazy:Bの時には滅多に見れない笑顔。なにより、優希ととても打ち解けているようで、まるで弟の一彩と同じ距離感で写っていた。



「こはくちゃんになりてェ…」
「馬鹿なこと言わないでください」
「俺っちもニューディに移籍するしか」
「寝言は寝て言いましょう」


そう言い放ちながら、HiMERUはまた視線を本に戻した。このあと、やってきたニキは何も知らずに燐音からのとばっちりを受けることになる。

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