憧れの学生服4



あれからやってきたのは、近くのカフェだった。シンプルさの中に可愛らしさもあるお店で、平日だというのに時間的なものもあってか、中はそこそこ客入りがあった。めちゃくちゃ混んでるわけでもなかったため、店員さんに人数を伝えればスムーズにテーブルへと案内してくれた。


「優希さん!おすすめはこのパフェらしいですよぉ!種類もイチゴやブドウ、マンゴーがあるみたい!」


座席につくなり、複数あるうちの一つのメニューを藍ちゃんは手に取ったかと思うと、テーブルにババンと広げて説明してくれる。彩り様々なフルーツなどの盛り込まれたパフェが高くページを飾っている。思わず見入ってしまうほどの色鮮やかさで、ついテーブルに身を乗り出し気味になってしまう。


「すごい、美味しそう…!」
「僕はこの蜂蜜レモンにするよ」
「ヒロくんもう決めたの…!早いよぉ」


真っ先に決めたのは、ひーくんだった。しかも選んだのは蜂蜜レモン…のタルト。パフェとはまた別のメニューに載っていたものだった。どうやら、ここはフルーツタルトも有名らしく、いろんな種類が載っていた。そういえば、ひーくんはレモンが好きだったなと思い出す。蜂蜜は、燐のユニットを連想させて、思わずふふっと笑ってしまった。



あれから、あたしと藍ちゃんはそれぞれパフェを選択してオーダーをする。しばらくすれば、テーブルに色鮮やかなパフェやケーキが並ばれる。並んですぐにスマホを撮り出して頼んだスイーツを、パシャリと写真に納める。そのままスマホの向きを、ひーくんと藍ちゃんに焦点を合わせた。


「はいっ、2人とも写真撮るよ〜」


スマホを向けながら、左手を軽くあげて視線を集めれば、藍ちゃんはひーくんに頼んだ蜂蜜レモンのタルトを持たせて、自身は頼んだパフェに手を添えて2人とも可愛らしい笑顔を向けてくれる。そのまま、何枚かパシャパシャと写真に納めてと撮った写真をその場で確認する。


「うん、ありがと〜かわいい」


スマホは便利だ、簡単に思い出を記録に残せる。すっかり大きくなったひーくんとその仲間である藍ちゃんの写真を撮らせてもらい、気分はホクホクである。そんなことを思っていたら、あたしの横に藍ちゃんが椅子ごと寄せてきた。


「優希さんも一緒に撮りましょ〜!」


ほ〜ら、ヒロくんも寄って寄って!と言われるがまま、ひーくんも藍ちゃんのように反対側に椅子を寄せてくる。あたしの目線よりも少し高い位置、そう、おでこぐらいの位置に顔を寄せるひーくんと、インカメに切り替えて、もう片方の手でにっこりピースをする藍ちゃんに挟まれて、頼んだドリンクを持ちながら一緒に撮ってもらった。「めっちゃラブ〜い!」なんて言いつつ、嬉しそうにはしゃぐ藍ちゃんに見せられた写真は、3人仲良さそうに笑顔で写るものだった。あたしも制服っぽい格好をしていることもあり、我ながら学生の放課後感がある写真でほっこりする。


「藍ちゃん、後でその写真送って欲しいな」
「ぜひ!送りますよぉ〜」
「ありがとう、2人と撮ってもらえてうれしいっ」






それから、いろんな写真を撮りつつ、デザートを楽しんだ。ひーくんのケーキをあーんと分けてもらったりするところや、藍ちゃんとパフェの交換をして食べているところだったり。大きさ的にボリュームがあって食べ切れるかな、って思ったけど要らぬ心配だったようで。ひーくんたちと分けたこともあり、ペロリと完食してしまった。

お店を後にしたあたしたちは、そのままぶらぶらと街中を歩く。藍ちゃんは色々と詳しくて、このお店はこれが有名だとか、あのお店の何が美味しいとか、教えてくれる。何でそんなに詳しいのか聞いたら、アイドルチェックで知った知識らしい。とあるお店を過ぎる時、「このお店はシルバーアクセサリーとかいろいろ置いてあるんだぁ」と藍ちゃんがいうものだから、あたしは思わず足を止める。

「ねえ。ちょっとこのお店寄ってもいいかな?」











お店の中には、いろんなものが置いてあった。入ってすぐに広がる壁にシルバーアクセサリーたち。ブレスレットやペンダント、指輪にピアスと様々な種類が置いてある。他にも革を使ったものたったり、つい目移りしてしまう。その中で、パッと見たいものの目星はついていたので、ソレを探すために店内を回ることにした。



「姉さんありがとう!!!!大事にするよっ!!!」


数分後、数ある種類の中から選び抜いたものを購入した。そのまま袋に入れられたソレをひーくんに渡せば、とても嬉しそうな笑顔で受け取ってくれた。

 
「よかったねぇヒロくん」
「嬉しいよ!大切にするねっ」
「ふふっ、喜んでもらえてよかった」


早速つけていいかな?なんて言いつつ、店の前から少し捌けたところで立ち止まったひーくんは耳についていたピアスを外しだす。
外したピアスは学生鞄のポケットに無くさないように仕舞い込んで、あたしがさっきあげたお店の袋から取り出すのは買ったばかりのピアスだった。ひーくんの手のひらに転がるラウンドカットされたオレンジ色の石が嵌め込まれたピアス。ひーくんは後ろのキャッチャーを外して、手探りで器用に付け替えた。赤い髪から覗く耳に輝くオレンジ色のシルバーピアス。「どうかな!」なんて嬉しそうに聞いてきてくれるひーくんが可愛らしくて「かっこいいよ、似合ってる」とあたしは答えた。


気づけば、自分の格好のことも忘れてただひたすらに楽しんでいた。

(姉さん、もう一つは何を買ったんだい?)
(これはね〜、なーいしよっ)

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