Prologue
ずっとあの日から後悔していた。
悩んでも悔やんでも変わらない現実、
喪失感と虚無、色を失った世界。
脳裏に浮かぶのは泣き虫なアイツが、涙を堪えて必死に繕った笑顔。
「だいじょうぶだよ、」
その表情とは裏腹に落ち着いた声だった。
自分に力があったら、
自分がもっと強かったら、
何度思っても、何度考えても、それは全てもしもの話。
例え笑顔がもう見れなくたって、元気にしてくれればいい。
…なーんて、俺も人間できちゃいねェんだわ。
もう、手放したくない。
そばに置いておきたい、守っていたい。
ただそれだけ。
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