学パロ



屋上の階段を出て、ぐるりと回ったところ。ここがいつもの特等席。基本屋上にやってくる人はいないし、まずここは本来立ち入り禁止の場所。日陰になっていて、風が吹けば心地いい。


「んんん…」


日差しはなくても、背中から伝わる暖かさがまた優しくて体制を変えて座り直す。背中に腕を回されて、頭を撫でられて安心感が胸の中に広がる。


「…次は何…?」
「あー数学だったかなァ」
「そっか」


基本、屋上にいる時はあたしが地べたに座らないようにしてくる。前に言われたのは、スカートで地べたは体を冷やすからダメだって言ってた。だから、こうやって屋上にいる時はいつも燐が座ってる上に乗せてもらってくっついている。最初は燐を背もたれにしているけれど、それだと燐が見えないし気づけばいつだって横に座り直して燐の胸に擦り寄ってる。


「あ〜授業めんどくさっ」
「でもちゃんと受けないと…」
「わーってるけど、優希」


ふと、名前を呼ばれて擦り付けていた頬を離してすぐ上にある燐を見上げれば、頬に手を添えられて口を塞がれる。


「んっ、ふ」


口の隙間から燐の舌が入り絡み取られる。気持ちよさに頭がクラクラして、でも離れたくなくて燐のワイシャツをギュッと握る。角度を変えて求められて、瞑っていた目をうっすらと開ければ細く開けられた燐の目と視線が交わり、体の中からぞくぞくする。


「ふぁっ」
「…ンッ、」


やっと離れた時には、最後にまた唇にチュッと触れるだけのキスを落とされる。酸欠だった脳に急いで酸素を回すように肩で息をするあたしに対して、燐は呼吸一つ乱さないでご満悦そうに笑みを浮かべていた。



「ほんっと、かわいいなァ」
「り、ん…」
「あーこのまま連れて行きてェ」
「…あたしは燐のクラス行けないよ…」
「俺が優希のクラス行くか」
「それもだめ」


だって、燐は3年生であたしは2年生。クラスが違うだけじゃ無い、学年自体が違うから。ほんとは、あたしだって離れたく無いけど、学校にいる以上それはどう頑張ったって無理なんだ。

毎日毎日、こうやって燐と一緒にいるのに、いつだって好きが溢れてそばにいたくて、離れなきゃいけない時ほど離れがたい。でもそんなこと、言葉には出さないで首に腕を回せば、ギュッと抱きしめてくれる。


「放課後、迎えに行くから教室にいろよな」
「うん。でも、下駄箱でも良いんだよ…?」


燐はいつだって迎えに来てくれる、前に燐にいっつも来てもらうのが申し訳なくて、3年生の教室に先に出向いた時にめちゃくちゃびっくりされて、止められた。普段、呼び出して3年生の教室に行くことだってあるのに、なんだだろう。

だって、3年のクラスは一階であたしたち2年生は上の階。わざわざ階段を使って来なければならないのに、燐は「いいンだよ」しか言わない。


「アピールしとかなきゃいけねェからなァ」


そう言って、燐はあたしのしているネクタイにそっと触れた。





補足

天城燐音
高校3年生、優希の幼馴染で彼氏
基本制服の着用スタイルは長袖のワイシャツを腕まくりに腰パンベルト
男子制服のネクタイは非着用
首から指輪を通したチェーンをつけている


水城優希
高校2年生
基本制服の着用スタイルは長袖のワイシャツに前びらきタイプのベスト(黄)
スカートは膝上ぐらい(日々燐音チェックあり)
女子制服のリボンではなく燐音のネクタイ着用
(リボンは燐音のスクール鞄にぶら下がってる)

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