娘の七五三



※拍手リクエストより
※娘3歳
※桜河視点


大きな部屋の中、蓮はポツンと立って優希はんを見つめる。


「いい?ちゃんとこはくお兄ちゃんの言うこと聞くんだよ」
「うん!蓮、こはくちゃんのこときくよっ!」
「コッコッコッ。蓮ちゃんのことは任せておきぃや」


優希はんは、蓮ちゃんの目線に合わせてしゃがんで言い聞かせるように問い掛ける。蓮ちゃんと言えば、言われた言葉を元気よく復唱する。それを見て本当に大丈夫かな、と優希はんの表情が言っていた。



「じゃあ、ママも準備するから。よろしくね、こはくん」
「おん、はよ行ってきぃや」



ありがとう、と述べて部屋を後にする優希はん。蓮ちゃんは一緒にバイバーイと手を振ってお見送り。


「さて、蓮ちゃん、準備しよか」
「はーいっ」







部屋に広げられた長襦袢、長濡袴、被布、兵児帯、腰紐、足袋や草履など。それらを広げた中心に蓮ちゃんを立たす。さっき足袋を履かせてトイレの確認。大丈夫だと言っていたが、念のためトイレも行かせてとった。肌着の状態で、長襦袢に袖を通す。


立ってる蓮ちゃんは今、されるがまま。きちんと優希はんの言いつけを聞いて、わしの言った通りにしてくれる。くりくりの目ぇで、わしを見てるさかい。いつも会うたびに大きくなったなぁと思わさせられるんやけど、今日はより特別や。蓮はんは髪を結いて上げておって、華やかな髪飾りもついとる。お化粧されて慣れない紅に違和感を覚えつつも、今はわしのやってることに興味がある様子や。化粧されたことも忘れてそうやんな。



「蓮ちゃん」
「なあに、こはくちゃん」
「子供はな、7歳まで神の子供って言われてるんやで」
「んぅ?蓮はぱぱとままのこどもだよっ?」
「せやったな」



七五三について調べてみたら、いろいろ面白かったわ。3歳は髪置きの儀、5歳の男の子は袴着の儀、7歳は帯解の儀。それぞれになるほどなぁという意味があった。そこに書かれていた7歳まで神の子供だと言われていたこと。その文字を見て、蓮ちゃん思い浮かべたら、初めて抱っこした時のこと思い出したわ。



「蓮ちゃん、初めて抱っこした時ごっつちっさかたのになぁ」
「ちーさいってどのくらい?このぐらい?」
「コッコッコッ、それはちっさすぎやで」



蓮ちゃんの小さい表現が本当にちっこくておかしかったわ。



「わしな、初めて赤ちゃん抱っこさせてもらってな、ちっこくてあったかくてな。あぁ、これが尊いんかって思ったんよ」
「とーと?」
「そやで。せやから、蓮ちゃんがこうやって大きくなってな。わしが蓮ちゃんのお手伝いできて嬉しいわ」



多分、わしの話の半分以上も蓮ちゃんはわかってないんやろうな。キョトンとした表情でわしを見る。それがまたおかしくて、わしの頬は緩みっぱなしや。



「蓮ちゃんできたで」
「こはくちゃん!みたい!」
「おん、鏡で見よか」



着付けも無事完成。蓮ちゃんに伝えれば、元気よく飛び跳ねそうな勢いで動く。蓮ちゃんと一緒に鏡の前に移動すれば、蓮ちゃんはごっつ目をキラキラさせながら鏡を見入とった。



「こはくちゃん、どうだァ?」
「ぱぱー!」
「おっ、蓮めっちゃ似合ってるじゃんかよぉ。かわいいなァ」


タイミングよく入ってきたのはスーツ姿の燐音はん。着替えとか他の準備も終わったんやな。入ってくるなり、蓮ちゃんは大声で燐音はんのこと呼びよった。蓮ちゃんに呼ばれてすぐさま燐音はんも視界に捉えるなり、めちゃくちゃ表情が緩みよった。そりゃこんな可愛い娘の晴れ姿、喜ぶやんな。



「故郷も和装だけど、やっぱこういうのは違うねェ」
「ぱぱ、蓮ね、こはくちゃんがおきがえしてくれたの!」
「ははっ、良かったな」
「うん!」



燐音はんは、蓮ちゃんに「こういう時どういうンだっけか?」と尋ねとったら、蓮ちゃんはわしの方を見て元気よく口を開きよった。



「こはくちゃん!ありがとう!」
「どういたしまして」



ほんま、大きくなったなぁ。

蓮ちゃんが生まれて3年。

あの日、初めて抱っこした時の重さもぬくもりも尊いと思った気持ちも、まるで昨日のようなのになぁ。ほんま、蓮ちゃんには感謝しとるよ。



「蓮、お着替え終わったー?」
「ままー!おわったー!ままー!ままもきれー!」



その後、着付けを終えた優希はんもやってきよって、燐音はんも蓮ちゃんも釘付け。さすが親子や、ってこれまたおかしくなってしもうた。


今日はめでたい蓮ちゃんの七五三。

この後親子で参拝と写真撮影。それだけなら普通の七五三って流れやけど、わしらの大切な蓮ちゃんのめだたい日や。ニキはんはお祝いでご飯作って、HiMERUはんも何やら準備してるさかい。今日はCrazy:Bのみんなでめいいっぱいお祝いしよな。


(リクエストありがとうございました!)

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