娘とパパと仲間たち
「蓮、」
「んぅ?」
「だーれだ?」
「ぱっぱ!」
蓮の前で両手で顔を隠し、だーれだと言えば元気よく声を上げた。覆っていた両手を外して、「せいか〜い!」と言いながら蓮の頬っぺたをウリウリとしてやれば嬉しそうにキャッキャと声を上げる。
そのまま膝の上に座らせてやれば、不思議そうな表情をしたまま静かになったので次に移ることにした。
「んじゃ、蓮。これはだーれだ?」
蓮の目の前にはさっきの俺と同じように両手で顔を覆う姿。しかし、両手でどんなに顔を隠したって見える髪色や髪型、なんならさっきまで一緒に普通に話してたわけだから服装とかだってヒントになるわけで。
「こっちゃ!こっちゃよ!ぱっぱ!」
「コッコッコッ、さすが蓮ちゃんやなぁ!正解やで」
そう言いながら笑うのはこはくちゃん。なんだかんだで、蓮の対応も慣れてきたもんだなァと思う。蓮は純粋に当たった事を喜んで両手を叩く。
「蓮ちゃん、次は誰やろうな〜?」
「次はわかるかァ?」
次の番になって、こはくちゃんと誰だろうな〜とすっとボケた感じで問いかけてみるが、蓮からすれば一目瞭然。さっきまで大人しく座っててくれたっていうのに、突然俺の太ももの上に立とうとして、バランスを崩しそうになるから、慌てて体を支えてやる。
「にい!にいっ!にーいっ!」
「ちょっ、蓮あぶねェっ」
「なっはは〜!蓮ちゃん正解っす!」
「んぅ!にーいっ!」
ニキのターンになって、思いっきり動きを見せる蓮。不安定な足元を気にせず、両手を必死に伸ばす蓮が安定過ぎるんだが、なんとなく癪に触るんだよな。
「んぅ〜」
結局、本人の希望によりニキの膝の上に場所を変えて満足そうにしている蓮。んだよ…と思っていれば、「燐音はん、」って何故か俺が諭された。
気を取り直して次の番、だーれだとみんなで呟けば蓮は目をパチクリしながら相手を見つめる。そして、
両手でグーにした状態で、満面の笑みで首を横に振りながら言った。
「めうめ〜うっ!」
「ふふっ、HiMERUです。正解ですよ」
「しっかし、蓮ちゃんは何でHiMERUはんだけ、あんな言い方するんや?」
「さぁな。なんか知んねェけど、ノリノリで言うんだよなァ」
あれからニキの膝の上でソフトせんべいをモグモグしている蓮を見ながら、こはくちゃんから出た話はメルメルの呼び方について。何故か蓮は、メルメルを呼ぶときだけ楽しそうに首を左右に振りながら呼ぶんだよなァ。まあ、音的に楽しくてやってんだろうなぐらいにしか思ってねェんだけど。
「蓮」
「んぅ?」
「これは?」
「こっちゃ!」
「これは?」
「にーいっ」
ふと気になって、次は順番に指を差しながら問いかける。
「これは?」
「めうめう〜!」
やっぱ、メルメルの時だけ振りがつくんだよな。まあ、可愛いから全然いいんだけどよ。
「じゃあ、だーれかな」
「んぅ!まっまー!」
気付けば、優希が俺の後ろにやってきて便乗して言葉を発する。それを見た蓮は、食べかけのせんべい片手に持ったまま嬉しそうに両手を上げた。
「蓮、よかったね。お兄ちゃんたちと遊んでもらって」
「ねー」
優希の問いかけに、多分意味も分からず、言葉を返す蓮。
蓮は最近、いろんな言葉を覚え始めた。多分、メンバーの名前も俺が呼んでる言葉を覚えて真似てるんだろうなって思ったら微笑ましく感じた。
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