娘とAdam



※七種視点
※娘2.3歳ぐらい



とある日のこと。

コズプロの、自分の事務所に来てみれば、閣下のお姿を見つけまして。それは当たり前のことなのですが、閣下がいらっしゃったのが何故か自分の普段の目線の高さと合わない位置なんですよね。そう、いつもより全然下の位置、しゃがんでいる閣下。



「君は一人なのかな」
「んぅ?」
「お名前は」
「蓮ちゃんっ!」



近づいてみれば閣下の影に隠れて見えませんでしたが、赤い髪の毛をちょろんと二つに結いた幼女の姿。これはこれは、珍しい人ですね。


「閣下、この子は天城のところの娘ですよ」
「あぁ…、この子が」



天城蓮。たまに話には聞きますが、ずいぶんと大きくなったものですね。ちゃんと受け答えする歳になっていたとは、子供の成長早いものです。



「なんで、蓮はここにいるのかな」
「んぅ…」


天城娘は閣下の質問に対して、唸るだけ。答えのわからない質問をされてなんで言うべきか考えているんでしょう。閣下と一緒に首を傾げて見つめあってるわけですが、拉致が開かないのは一目瞭然。はぁ…とため息を一つ。余計なことに首を突っ込んでる場合じゃないんですよ。




「天城氏はいないのですか」
「はーいっ!」
「茨、蓮も天城だよ」
「…天城燐音氏はいないのですかっ!」



天城燐音氏を呼んだつもりでしたが、天城と聞いて元気よく手を挙げる天城娘。いいことだと思います、この素直さは母親似でしょうか。しかし、閣下と天城娘が揃ったことによって赤ちゃんと赤ちゃんの会話です。誰か保護者はいないのですかっ。




「あっれ、Edenのお二人じゃないっすか。お疲れさまっす!」
「にい!」
「お待たせっす、蓮ちゃん」



保育士ではないんですよ、と思っていれば現れたのは椎名氏。何やら手には袋をぶら下げていますが、おそらく食べ物でしょう。椎名氏を見るなり、天城娘は両手を上げてぴょこぴょこし始めるので、どうやら二人はかなり見知った関係のようですね。



「蓮ちゃんとお話ししてくれてたんすか?」
「自分がここに、来た時には既に赤ちゃん同士の会話が始まってました」
「蓮、あかちゃんじゃないもん」
「私、赤ちゃん…?」



椎名氏に抱っこされた天城娘は、ぷぅと頬を膨らませてて否定するのに対して、閣下は首を傾げる。普通ならば反応は逆であって欲しいものですな。



「天城氏はどうしたのですか」
「燐音くんは打ち合わせ中っすよ、んで僕が代わりに蓮ちゃんの面倒見てるんす」
「と、言いながらもどこに行ってたんです?」



事務所に子供を一人残して置かないでいただきたいですな。ここは託児所ではないのだから。その言葉は飲み込んで椎名氏を見るが、椎名氏にはその言葉の本意は伝わっていないのでしょうな。へらりと笑うだけ。




「お腹減っちゃったんで、蓮ちゃんとおやつの時間にしようと思ってプリン買って来たっす!」
「ぷぅりんっ!」
「…社食かカフェに行けばよかったのでは」
「ん〜、その方が良いんすけど、勝手に連れて行ったら行ったで燐音くん怒るんすもん」




そこで天城氏の言葉を飲み込むのは椎名氏らしいところですが、何度も思うようにここは事務所なんです。いくら所属アイドルの子供とはいえ…、




「プリン…いいな」
「閣下!!!」
「ぷりん、たべたいの?」
「美味しそうだね」



あぁもう!閣下がいらっしゃるのは良いんですが、口を出すたびに話が脱線して面倒くさいですね!!!天城娘も閣下の言葉を聞いて、こてんと首を傾げて聞くもんだから、閣下もニコニコしながら返してますし!



「プリンじゃなくても良いなら、他の食べ物あるっすよ」
「蓮のあーんしてあげるっ」
「蓮ちゃん、それやったらパパ怒っちゃうっすよ」
「んぅ?めっ…?」
「良いことなんすけどね、パパすぐおもち焼くっすから」
「天城燐音くん、おもち焼くの?」
「ぱぱ、おもちやかないよ?」



ああもう収集ができません。

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