ニキとクッキング



※椎名視点

目の前には小麦粉や麺棒、広げてあるのは新品のビニール。そして僕はいつものようにエプロンをして、その横には動きやすい服装に髪の毛をちょんと可愛らしくちょんまげにした蓮ちゃん。

「今日は蓮ちゃんと一緒にお料理するっす!」
「あい!」
「蓮ちゃんも大好きなうどん作りましょうね」
「うー!」


両手を上げて意気込む蓮ちゃん。一緒にこれからうどんを作るっすよ〜!




「まずは小麦粉に水を入れて混ぜるっすよ」
「んぅ」
「こうやって、水入れて混ぜ混ぜするっす」
「まー!」


布ぶきんを下に敷いたボールに小麦粉を入れてかき混ぜる。最初が肝心なので、蓮ちゃんに説明しながら見てもらう。蓮ちゃんは、僕の手元を指を咥えながら不思議そうに見ていて、言葉と動作を教えればすぐさま真似っこしようと手を伸ばす。なので、「お手て洗ってからっすよ〜」と言いながら、除菌シートで拭いてあげてからボールを目の前に移動してあげた。そうすれば、初めての事に目を輝かせながら、容赦なく手をボールの中に投入。ベタベタとする動きはもはや粘土や泥遊びに若干似てる気もするっす。


「蓮ちゃん、じゃあ次僕の番っすね」
「あい、にーい」
「ありがとうっす!」


ある程度、蓮ちゃんがぐちゃぐちゃにした後、僕の番っす!って言えば蓮ちゃんはいい子なんで素直に譲ってくれる。ホントいい子っすよね?!ママに似っす。


ボールの中の少しだけそぼろ状になった小麦粉をこね始めてまとめていけば、段々と小麦粉同士がくっついて生地に形を変化させる。ここからは、こねる作業なのでまとまった生地を大きなビニール袋に入れて床に置いた。


「はい、蓮ちゃん踏み踏みするっすよ!」


両脇に手を入れて、生地の前に抱き上げて立たせてあげれば、蓮ちゃんは不思議そうな顔で僕を見つめる。多分、踏んで良いって概念がないならだろう。「んぅ、?」って見つめてくるんで、「ここ、ぎゅっぎゅって足乗せるっす!」なんて言いながら、片足を誘導してあげれば言われるがまま、生地の上に足を乗せるとぐにゃりと動く生地。


「っ…!」
「なっはは〜!驚いたっすか?」


初めての感覚にびくりと全身を停止させてしまった蓮ちゃん。うんともすんとも言わないから、大丈夫っすかね〜って様子を見てみたけど、切り替えが早いっす!すぐにもう一つの足も乗せて、きゃっきゃしながら足踏みをし始める。



「んぅ!う!」
「いっち、にー!いっち、にー!」
「いー!にー!」
「上手いっす上手いっす!いっぱい踏んだら美味しいうどんになるっすからね〜!」



蓮ちゃんの両手を掴んであげながら、蓮ちゃんは一生懸命に足踏みを繰り返す。ぐにゃぐにゃと形を変える生地が面白いみたいでずっと下を見ながら一緒に掛け声をかけて動かしていて、さすが普段から踊って遊んでるだけあるっすね。めちゃくちゃ足の動きいいっすよ!

これは美味しいうどん間違いないっす!



「はい、蓮ちゃんもういいっすよ〜おつかれさまっす!」



めちゃくちゃ蓮ちゃんに足踏みしてもらったので、いい感じになったし蓮ちゃんも疲れてきちゃったと思うので、生地からそっと下ろす。


「これから生地はおねんねっす!」
「ねんね…?」
「そうっすよ〜美味しいうどんになるために、寝るっす!寝るのは育つ!美味しく育つっす!」


蓮ちゃんは不思議そうな表情を浮かべながらも、寝るという単語を聞いてペチペチと生地の入った袋を叩く。



「ねんね、ねんねよ〜」
「なっはは!そうそう、ねんねっす」


優希ちゃんから、最近蓮ちゃんは寝かしつける事を覚えたらしく、ぬいぐるみとか燐音くんにやってるって聞いたっすけど、生地にまでやるとは思わなかったっす。



「うどんさんは、おねんねするっすけど、蓮ちゃんもおねんねするっすか?」
「んぅ…」



蓮ちゃんは生地をペシペシしながら、瞼が重そうで寝てみるか聞いてみるが、んぅぅぅと声を漏らしながら首を横に振った。こういう時の対応は優希ちゃんから聞いてるっすよ!



「蓮ちゃん、僕眠くなっちゃったから一緒に寝て欲しいっす」


優希ちゃんのアドバイスを元に蓮ちゃんにお願いしてみれば、蓮ちゃんはぴたりと動きを止めて僕を見つめる。少しだけ何かを考えたのかわならないけれど、すぐに僕の手を引いて「にい、ねんねすぅ」と言ってくれたので作戦成功っす!


そのあと、蓮ちゃんとごろんと横になれば、疲れておねむだった蓮ちゃんはすぐにスヤスヤ夢の中へ。そんな様子を確認した僕は生地を寝かしてる間に使った器具の片付けとお腹が減ったんで適当に食べたりもして。


いい感じに時間も経った頃、蓮ちゃんはまだ夢の中なのでそのまま一人、麺棒で生地を伸ばし後の作業を続けることにした。












「んぅ…にい…」
「おはようっす!蓮ちゃん」


しばらくして蓮ちゃんも起きてきたので、水を張った鍋に火をかけて沸騰させる。


「蓮ちゃん、いっぱい寝たっすね!うどんさんもいっぱい寝たっすから美味しくなってるっすよ!」
「うー!」


蓮ちゃんは既に生地から麺に変わったうどんたちを見ても不思議に思わなかった様子で。むしろ起きたら見慣れた麺の姿になっててテンション上がってるみたいっす。
さすがに火の元は危ないので、蓮ちゃんは見えないけど、何せいい子だからずっと僕の足元でズボンを掴んで見上げている。切ったうどんを鍋に入れて茹でればいい感じに透明感が出てきて美味しそうっす!

茹で上がったうどんをざるにかけて、流水で洗えばできあがりっす!







「はい、蓮ちゃんの作ったうどんっすよ〜!」


蓮ちゃん専用のお椅子に座らせてあげて、小さな蓮ちゃん用のお皿に食べやすい長さに切ってあげたうどんを出してあげる。最近フォークを覚えたようなので、渡してあげてみればグーの手で握ってくれたっす!


「うー!」
「いただきます!」


フォークをそのままうどんに突っ込んでみるけど、うまく取れない蓮ちゃん。「んぅ…?」って唸りながら、結局はフォークを持ってない手でうどんを鷲掴み。そのまま口の中へモグモグ。ちゃんた冷ましておいてよかったっす、じゃないと火傷しちゃうっすもんね…!


「にい!っちい!」
「なっはは!おいしくできたっすね!」
「んぅ!」


蓮ちゃんは「んぅううう」なんて言いながら自分のほっぺたを小さな手で包んでた。ほっぺた落ちそうなぐらいおいしいって感じっすかね?

とにかく、蓮ちゃんも楽しそうだったし、僕も楽しかったし、二人でお腹も膨れておいしかったっす!

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