ままがね、きょーはまほーつかいだよ〜って！
おれんじいろのすかーとに、まっくろなとんがってるぼうし！

あとね、まほーつかいのつえもあるんだよ！


これで、なつめちゃんみたいに蓮もできるかなあ？


「〜♪」


あ、蓮しってるよっ！














湧いてくる、湧いてくるぞ！
インスピレーションが！


「れおくん、いっぱいおうたつくってるね」
「おっ、蓮！」
「れおくーんっ！」



わははっ！突然降ってきたインスピレーション！おれは持っていたペンと紙で曲を書き殴っていれば、おれがペンを止めた瞬間にいつのまにいたのか、蓮がしゃがんでおれの作った曲たちを覗き込んでいたんだぞ！

おれが蓮に気づけば、蓮はいつものニッコニコな笑顔で抱きついてきてくれた！かわいいな！




「れおくんのおうた〜！」
「わはは！いっぱい作ったぞ！蓮は今日はいつもと違う格好してるな？」
「まほーつかい蓮ちゃんよ！」
「かわいい魔法使いだな！蓮の格好見たら、またインスピレーションが湧いてきたぞ〜！」
「いんしゅぴれーしょん！」



蓮が何やら可愛らしい魔女の格好していたから、刺激されたぞ〜！再びペンを持って紙の上をなぞる。頭の中で流れる音符を口ずさみながら書き殴っていれば、その横で蓮もおれの動きに合わせて体を揺らした。



「できたぞ！蓮の歌だ！」
「わーい！」
「これは蓮にあげるなっ！」
「んぅ、れおくん、これじゃ蓮わかんない」
「じゃあ、これからピアノ弾きに行こ」
「うん！れおくんとおうたうたう！」



また新しい歌が完成したことを告げれば、蓮も一緒に喜んでくれる。だから、蓮にあげたけど、蓮は楽譜が読めないから、ぶぅ…とした表情になっちゃった。そんな顔をさせたかったわけじゃないんだけどな、だから蓮にピアノで弾けば聴けるから！って思って誘えば、それには蓮も嬉しそうに頷いてくれた。


だからおれは、蓮と一緒に手を繋いで歩く。


「れーおーくん」
「なんだ〜？」
「とりっくおあとりーと！」
「わはは！ハロウィンだな！」



蓮は歩きながらおれを見上げて、トリックオアトリートって言った。そっか、蓮の格好もハロウィンだからからか！優希が蓮のために着せてあげたんだろうな〜って思った。だから蓮にハロウィンって言ったのに、蓮はキョトンとした表情でおれを見上げる。



「…れおくん」
「どうした？」
「とりっくおあーとりーと！」
「うん！ハロウィンだな！」
「れおくん、おかしちょーだい」



そっか、蓮はお菓子が欲しかったんだな！でも、残念。おれが持ってるのはペンと紙、しかもさっき作った曲が描かれた紙しかもってない。



「おれ、お菓子持ってない！」



だから、代わりに新しい曲作ってあげる！って言おうとしたんだ。蓮はいつだっておれの歌を楽しそうに嬉しそうに聞いてくれるから、喜んでくれるから。



そう思ってたのに、おれが見た蓮はおれが見たことないぐらいショックな表情を浮かべていた。泣きまではしてない。けど、ぽかんと空いた口。段々と下がる眉毛と口角、「…ないの？」と消え入りそうな声だった。



「れおくん…蓮におかしないの…」
「蓮」
「蓮、れおくん…おかし…ないの…」



んぅ…って俯く蓮。おれと繋いでる手は離れてないけど、ただでさえ揃わない足並みはゆっくりとなって立ち止まってしまった。



「蓮…おかしほしかったな…」



ポツリと呟かれた言葉はしっかりとおれの耳にも届いていて、おれは、おれはっ、




「蓮！お菓子！お菓子買いに行こ！」
「んぅ…」
「おれが蓮の欲しいもの買ってあげるからなっ」
「…ほんと？」




蓮の前にしゃがんで、思いついた言葉をかける。蓮はおれが肯定すれば、ウソみたいにパァッと笑って「やったー！」と抱きついてきてくれた。


「れおくんおかしいっぱいね！」
「おにいちゃんが買ってあげるからな！」
「わーい！」
「あ、レオさん！蓮ちゃん！」
「つかさちゃん！おかしいこ！」



そうしたら、たまたまスオーもやってきたんだ。蓮はスオーの前でぴょんぴょん飛び跳ねて笑ってる。
蓮、もしかしてわざとシュンってしたのかな、もしそうならセナも優希もびっくりだな！めちゃくちゃ上手いぞ！

蓮はいつだっておれに刺激をくれる！















「ってことがあって、蓮とお菓子買いに行ってきたんだ」
「途中でレオさんと蓮ちゃんとお会いしたのでご一緒させていただきました」
「蓮ね！れおくんとつかさちゃんといっしょにおかしいっぱい！」
「はいはい、蓮は可愛いから許すけどぉ〜、レオくんもかさくんは別だから」


まったく、せっかく蓮が喜んでくれたのになんでセナはピリピリしてるんだ？？？

蓮もおれもスオーもハロウィンだからたっくさんお菓子買ってハッピーなのにな！わははっ！