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 「どうやらあの女ラクーンの再来をお望みのようだ」



シモンズを追って、電車に飛び移り、そこでレオンたちはグレーツがいないことに気が付いた。

「レオン!グレーツは!?」
「あいつなら、大丈夫だ…とにかく今はシモンズを追おう!」


その頃、グレーツは。

「エイダ、無事で何よりだよ」
「あなたもね。レオン達と居なくていいの?」
「呼び出しといてそれはないんじゃないのか?」
「それもそうね」

クリスたちが迫る中エイダへとせまる中、エイダと通信をするグレーツ。
電車の隅に移動し、銃撃戦をBGM代わりにしながら二人は互いに近くにいたことを知り、連絡を取ったのだ。
互いに聴こえる銃声と咆哮を周りに、二人はフッと笑う。
少し前、二人のPDAに通信が入っていた。

『聞こえてる?プレゼントは気に入ってもらえたかしら?あなたが私にくれたものそっくりお返しするわシモンズ。始めは不安や恐怖に苛まれるでしょうけど安心して。あなたはただ人間じゃなくなるだけよ。そう、"全人類と共に"』

これはエイダ・ウォンを名乗った女の言葉。
深い、憎しみの声。
あの女は、シモンズに対してそんな言葉を残したのだ。


「シモンズとの間に何があったのかしら?」
「さあな、でもまあ全人類は笑えないからな。いくんだろ?あんたの偽物には説教くらいはかましてやらないと」
「ええ、説教で済めばいいけれど」



──────


クリスたちに繋がっている通話機が傍受する。
どうやら、エイダと通信している間にエイダと名乗る女と出会っていたようだ。

『エイダ!』
『こりないわね』

激昂したクリスの声が名を叫ぶ。
呆れた様子の、エイダ・ウォン…いや、もうわかっているので偽物と呼ぶことにしよう。
偽物と対等したクリスとピアーズ。

『化け物になったお仲間はきちんと始末できたの?半年前の件と言い…部下には苦労させられるわね?』
『挑発に乗っちゃダメだ!隊長!』
『誤解しないで、あなたの部下たちには感謝してるのよ、Cウイルスの実験台になってくれて』

偽物のエイダは怒りによって咆哮したクリスを嘲笑う。
このままじゃ、まずいか?そう思ったがどうやらクリスは約束を忘れていないようだった。投降しろ。そう告げるクリス。
しかし、冷静なクリスを前にも偽物のエイダは笑い声をあげる。

『もう遅いわ。沖に向かった別の空母が既に発射準備を始めている』
『ミサイルか…!』


通信を聞いていたグレーツは、「やってくれたな」とぼやく。

「エイダ、どうやらあの女ラクーンの再来をお望みのようだ」
「悪趣味ね」
「そうだな、しかも、全世界でだとよ」
「そう…」

エイダが哀れみの声を漏らす。


モニターを見ていたエイダと、通信機越しのグレーツは、生まれてきたエイダ・ウォン…生まれ変わったカーラ・ラダメスの姿を目撃して、なるほどねと呟いていた。


──────

『違う!エイダ・ウォンを作り出せ!次の実験体はカーラを使え。そうだ、いいぞ!いいぞ!これであの女…唯一私に従わなかった女を葬れる!』

ハッピーバースデー!エイダ・ウォン!

部屋中に不気味な声が鳴りひびいた。


──────



「ようやく、ニセモノの目的が見えてきたわね」

ああ、と、返事をするグレーツ。
そこに新たな通信が入る。

『HQよりクリスとピアーズへ。エイダの言葉に間違いはないようだ。海外にミサイルを搭載した空母を確認した。ミサイルはすでに発射準備に移っている模様。急ぎこれを阻止せよ』

了解と返すクリスとピアーズ。
エイダは覚悟を決めたように、グレーツに告げた。

「ニセモノとはいえ、これ以上の痴態はあなたには見せられないわ。あなたはレオンたちの元に戻りなさい。ここは、私一人でやるわ」

「了解っと」返し、グレーツは通信を切る。
エイダ相手に心配はない。


「やけに揺れてるな…少し、急ぐか…ってうを!」

ヒョイっと屋根上に顔を出す。
と、瓦礫が顔の横を通り間抜けな声が漏れた。

遠くに、レオンとシモンズの叫び声が聞こえ、その直後。

川にバシャンと勢いよく三人は叩きつけられていた。


───────
シモンズ戦が長いのよ…


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