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 「お姫様へのキスは終わったか?」



「あれが、俺たちの航空券らしい。あいつらしい贈り物だ」

エイダが書き記した贈り物の場所に近づく。
そこにたどり着くまでにはゾンビをたくさん相手にしたが、まあ、今はその話はいい。
そこにはエイダが操縦していたと思われるヘリが見えた。
レオンたちはそこに向かって走る。




後ろには、シモンズだった成れの果てが迫っていた。



「しつこい男は嫌われるって誰かに教わらなかったのか?」
「それならエイダが言っていたぞ」
「既に好きな女から忠告済みだったか、そりゃ失礼」

もう言語も喋れなくなっていたシモンズに向けて、哀れだな、と嘲り笑うグレーツ。
しかし、復活してくるとこを見ると、あのまま一緒に落ちなくて良かったと心底思う。
無駄死にしなくて良かった、ほんとに。
エイダには感謝をしなければならない、ムカつくことにだけど。

「レオン、これ!」
「ほんとに、あいつらしい贈り物だ」
「エイダ、好きだよな、これ」

ヘリのそばにロケットランチャーが備えてあったのをヘレナは見つけた。


「死んでやり直すんだな!」
「こういう奴は死んでもかわらねぇと思うけど」
「確かにな」
「ま、害虫駆除といきますか」
「そうだな!」

ロケットランチャーを軽いノリで打ち込まれたシモンズはそのまま落下し、真下にあった巨大な針のようなオブジェに突き刺さった。
シモンズから流れた大量の血は、針先を伝って床へと流れ出す。
その赤い血により、床は赤と白の三角が交互に並ぶ模様になっていた。
それは奇しくもアンブレラ社のマークを形作っているようにみえ、グレーツはつい笑ってしまう。
しつこい執念の割に、あっけないラストだった。

一連の流れを見届け、ヘレナがほっと胸を撫で下ろす。


「仇は討ったわよ」

ヘレナがつぶやく。

「..行こう」

ヘレナを労わるように肩に手を置き、優しく語りかけるレオン。
ヘレナほもう一度ビル下を眺める。
そんな二人を横目に、グレーツはそっと足をヘリとは逆の方向に向けていた。
それに、レオンが気づくのとグレーツが歩き出すのは同時だった。


「どこに行くんだ、グレーツ」
「あ、いや..」
「もう、逃がさないぞ」

レオンはグレーツの腕を掴む。
しっかり、跡がつくんじゃと言うほどに。

「PDAを貸してくれ」
「え、あ、ああ…」
「もう一つあるんじゃないか?」
「…………わかったよ」

グレーツは言われるがまま最初はエイダから受け取った通信機を手渡そうとした。しかし、レオンにはお見通しだったようだ。仕方なく、個人用の通信機をレオンに渡す。

「俺の連絡先を入れておく。たまには、連絡をくれ」
「………まったく、アンタにはかなわないな」
「言っただろう、もう逃がさないと」
「ああ、逃げる気はない。ただこれからまだやることがある。だから、ここでお別れだ」
「………また、隠し事か?」
「逃がさないでくれるんだろ?大丈夫、もう、無茶な真似はしないさ」
「エイダとは…昔から繋がっていたのか?」
「それは…秘密だ」
「君というやつは…まったく…泣けるぜ」

追いかけた女と、追い求めた男。
レオンは、どちらにもまた会えると言う確信が有った。
それは、いわば勘のようなものであったが、事実にもなる。
俺たちは、どうやら深い縁で繋がっているようなのだから。
だからと言って、いつ会えるかわからない現状を許すつもりはない。
だから、レオンはグレーツと連絡先を少々強引だが交換した。
それに、少し安心感や喜びを覚えていたグレーツもいたりする。


「じゃあ、一旦お別れだ」
「一緒には行かないのか」
「俺にはまだやることがあるからな」
「そうか..また、どこかで…連絡、待ってるぞ」
「そちらから、お誘いがあれば」


先に乗り込んでいたヘレナがこちらを見ている。
グレーツに別れを告げると、レオンはヘリに乗り込んだ。
後ろで、レオン達はエイダからのもう一つの贈り物を見つけている中で、

「エイダ、いるんだろう」
「ええ。妬けちゃうわね、見ていて恥ずかしいくらいにラブラブで」
「何だそりゃ」

スッと現れたエイダに、ラブラブなんて言葉エイダから聞きたくなったな…なんて思いながら、グレーツは苦笑う。

「そんなことより、なんであの時、俺を置いていったんだ」
「素直じゃない貴方のためにそうしてあげたのよ」
「ほんと冷たい女だな、アンタは。自分だけ場をかき乱すだけかき乱して、逃げ出してさ」
「私は引き際を心得ている良い女なの。むしろ感謝して欲しいくらいだわ。貴方のことだから、また大事な時にやってくれそうな気がしたから、気を回してあげたんじゃない」
「大きなお世話だよ…」
「でも、貴方あの時、そうするつもりだったのでしょう?今にもシモンズを道連れにしてあの場を収めようなんて馬鹿げたことをしそうだったから、貴方が重い男にならないように止めてあげたのよ」
「重くて悪かったな、いいように弄んでるアンタには言われたくないっての。ある意味、良い女…」
「ありがとう、褒め言葉として受け取っておくわ。それより貴方、今から時間あるかしら?」
「仕事の依頼か?もうこっちはアンタに振り回されるのはこりごりなんだが…」
「今、私は休暇中よ?デートのエスコート、頼めるかしら?」

色々と手助けをしてあげたでしょ、なんの見返りもなしするとでも?と顔には書いてある。

「別に俺は頼んで………あー、はいはい、デートね。わかったよ…...じゃ、お嬢さん、お手をどうぞ?」
「貴方のそういう素直じゃないところ、好きよ」
「どういたしまして。で、実際はどこに行くんだ?」
「本当にデートよ、と言いたいところだけど、ええ、そうね、今度は……」

エイダは差し出した手を握ると不敵に笑った。


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