<2/2>
「再会のハグは後だ」
タワーの中を調査していた三人の元に、シモンズが現れ、レオンとヘレナは驚愕する。
生きていたのかと、レオンは懲りないシモンズにつぶやく。
そこに、エイダのヘリも到着し、グレーツは通信していたためここに来るまでのエイダの奮闘を知っていたので無事なことに頭の中で密かに拍手する。
シモンズは血まみれの体でレオンを睨みつけると、ヘリのライトに照らされその照らしたヘリの方に、エイダに、次は目を向けた。
見上げたシモンズは息絶え絶えになりながら叫び散らす。
「わかったぞエイダ!私の命令を無視し、ウェスカーに関連した奴らを連れ去った理由が!貴様…よりによってヤツらの血で、Cウィルスを─」
叫ぶシモンズ。その時、グレーツの銃がシモンズに向かって発射された。
「グアアアア!キサマ、な、にを…」
「悪いな、少し黙ってろ」
「グレーツ…?」
急な攻撃に、シモンズは驚愕し、そして、次の一撃でその場に伏した。
グレーツの目が赤く光っているように感じたのは、ヘリの光があったためか。
レオンには、ウェスカーに関連した、その言葉にグレーツが苛立ったようにも見えた。
『容赦がないわね…まあ、自業自得だけれど。良いザマね』
エイダは一人つぶやく。助ける間も無くグレーツが解決してしまったことにより少し拍子抜けしたようだった。
『カーラ、本当はこれはあなたの仕事だったのだけど、まあ、いいわ』
シモンズが倒れたあと、三人をエイダの乗るヘリのライトが照らす。
『生き延びたければ…といっても、グレーツがいれば大丈夫な気もするけど……ちゃんと、ついてきなさい。次は、私が助けてあげる。私たちがいなかったらどうしていたのかしら?世話が焼けるわね、レオン』
レオンたちには聞こえていないが、そう言うと、エイダは首の動きで上を指し示すと、ヘリを上昇させた。
「屋上に向かってる?」
「エレベーターで上へ!…レオン?どうしたの?」
レオンを促したヘレナ、しかし、レオンは上昇しているヘリを見上げたまま動かない。
ヘレナの問いかけに一度振り向くレオン。
再びヘリを見上げながら、
「…いや、なんでもない。行こう」
レオンは足を踏み出した。
そこに、エイダの元に通信が入る。
それは、グレーツからのものだった。
どうしたの?と聞くエイダだが、グレーツはなにも応えない。
間違い通信?かと思ったが、しばらくしてグレーツが口を開いた。
「エイダ」
『……あなた、レオンたちはどうしたの』
「気になることがあって別れた」
『シモンズが強化されたのが、あなたの血が原因で、自分のせいだとでも思ってるの?随分、あなたらしくないわね』
「……俺がいなくてもジェイク・ミューラーがいさえすれば結果は同じだっただろうさ。そこは気にしてねぇ」
『なら、何が気に掛かっているの?』
「俺はアルバート・ウェスカーのクローンだ。人間じゃないだけじゃなく、俺はいるだけで世界の脅威になる」
『………あなた、』
「けじめをつけたい。だから、後を、頼む」
『……誰も救われないわよ、そんなんじゃ』
何が言いたいのか察したエイダは、ヘリを屋上に置き、そこにロケットランチャーを用意しながら、諭すようにそう言い聞かせた。
しかし、通信はそこで切れる。
「あなたは、本当に馬鹿ね」
そう呟き、エイダはグレーツたちのいる場所へと駆け早に急いだ。
「グレーツまでいなくなるなんて、どうしたのかしら……レオン、二人が、気になるの?」
ヘレナの問いかけに何もレオンは答えない。
「彼女…グレーツもだけど、あなたにとって彼らはどういう存在なの?」
レオンは、ヘレナの顔を見て何か答えようとする。
その時、爆発が起こり、二人が乗っていたエレベーターが吹き飛んだ。
窓ガラスが割れ、ケーブル一本で宙吊りになるエレベーター。
振り子のような状態になり、窓ガラスもなく壁がほとんどない。
二人は、勢いをつけて隣のエレベーターの屋根に飛び移った。
タワー内を探索していたエイダは、その爆発に気づき、向かい側のビルの窓からその様子を伺っていた。
グレーツの姿は、見た限りでは、ない。
「私も、休んでる暇はないわ…」
グレーツのしようとしていることを考え、エイダは先頭準備を整え、先を急いだ。
ちょい短いけど。
☆back ☆top