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 「これはれっきとした本名だからな」



「君はここで待っていろ。安全が確認出来次第こちらから指示をだす」
「邪魔モノはついてくんな、ってか。ああ、わかったよ。ただし、置いて先に行くってのはなしだぜ?誰か一人ここに置いていけよ、そこのアホ面の奴でもいいからさ」
「......いいだろう。マルコ、悪いがここに残ってくれ」

梯子を登るまえに、クリスからウェイトと止めが入る。梯子の奥にあるトビラからは、なにやら騒がしい声が聞こえていた。どうやらなにかいるらしい。
クリスから指示を出されたグレーツは、保険だよ、と誰でもいいからと言って一人の隊員を指さす。
指をさされ、さらに隊長からしぶしぶ命令されたひとりの隊員はいやそうにこちらを見ながら顔を歪めていた。

「...ふう、そんなに俺って疑わしい?こんなにもピュアで綺麗な心の持ち主なんだがなあ」
「...新手のジョークか?」
「まあ、半分はな」
「......なんでこんなヤツの監視してなきゃなんないんだか」
「おやまあ、ずいぶんな嫌われようで」

皮肉と皮肉の睨み合い。
奥からクリス達の戦う音が聞こえている中、マルコと呼ばれた隊員とグレーツはギスギスとした雰囲気を漂わせながら、二人は同じような表情を浮かべていた。
はあ、とため息をつくマルコに対し、グレーツも呆れたように息をはく。
こちらも好きでこんなことをしているわけではない。仕事でなければわざわざこんな面倒な奴らと自ら関わったりなんかしやしない。こっちだって仕事なのだ。

「なあ、隊長さんっていっつもあんな怖い顔してるわけ?まるで悪役みたいだろ」
「.........いいかげん黙ってろよ」
「あ、そう。話したくねえんならいいけど..ま、気をつけろよ」
「?..意味わかんねえし」
「復讐ってのは、時に周りをも巻き込みかねない..ってコトさ」
「!! てめえ..!」

そう言って、悪戯げに笑うグレーツに、マルコがつっかかろうとした瞬間、タイミング良くザザッ、とノイズのような音がなった。クリスからの指示を告げる無線のモノだ。
マルコは間が悪い、とバツの悪そうな顔をする。そんなマルコを見てグレーツはさらに楽しそうに嘲嗤った。

「意味のないお話しはこれまでだな、ほら出たらどうだ?待ちに待った隊長さまからのお呼びだぜ」
「チッ......あ、隊長..はい、こちらは異常はありませんでしたよ」
「そうか、こっちはあらかた片付いた。救助者を連れてすぐに合流してくれ」
「分かった、いますぐそちらに向かう.....おい、行くぞ」
「ん、ああ..んなに急かさなくたって分かってるっての」

クリスからの連絡を受けたマルコは、グレーツをおいて行く勢いで先に進んでいった。







「なにか問題はあったか?」
「...まあ、大したことは」
「ああ、なにもなかったぜ。なあ?部下さんよ」
「......問題というほどのことは、なかったぜ。ただ、こいつの態度には非常に問題を感じはしたけどな」
「おいおい、ちょっと話しを聞いてただけなのに、その言い方はないんじゃねえの?」
「...そうか、ならいいんだが」

グレーツを馬鹿にしたように笑うマルコに対し、クリスが御苦労だったな、なんて言葉をかけると、マルコは軽く苦笑った。
そんな彼らを見て、ここまで嫌われるといっそ清々しいかもしれない、とグレーツは自身へと呆れたように笑っていた。




特に、それ以上話すこともなく、マルコを加えた隊員達はクリスとピアーズに続いて先に進んで行った。
グレーツは、また待っていろと言われるものかと思ったが、今度はそんなことをしている暇もなかったらしく、ろくに指示もされなかったので隊員達のあとをとりあえずついて行くことにする。
先に進むと、眺めが良いくらいに広くあけた場所に出た。
隊員達が警戒したように銃を構えながら辺りをキョロキョロと見渡す。
グレーツも同じように、暇をつぶすように周りを何と無くみていると、急に爆発したような重い音とともに軽く炎があがった。
何事かと、そこにいたグレーツ以外の全員がその音のしたところを見る。
特に気にもしなかったグレーツは、再度辺りを見渡していて、ふと中央の方に目をやると、なにやら二人くらいの人影をそこに見つけ
た。
その瞬間、グレーツは嫌を全身で表すかのように体を強張らせ、顔を歪ませていた。

「あれは...まさか、あいつの..」

そこには、金色の髪をした女性と、スキンヘッドの男性の姿があった。





嫌われもの
(嫌よ嫌よもなんとやら)

「はあ..まさか、もう会うはめになるとはね」


―――
マルコとか口調分かりません!(ならなぜry
次は一応ジェイクと初対面(一方的)の予定です。早く主人公に銃を持たせたいですね(`・ω・´)
つか主人公嫌われすぎワロタ。

ちなみに、小説ないで銃って書いてるモノは基本的にはハンドガンやマシピなどの小型武器でアンチマとかショットガンなどの他の武器の場合は銃ではなく名前で書く感じでやってるつもりです。と、最後にどうでもいい解説。


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