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 「これはれっきとした本名だからな」





「...! 総員、戦闘配置!」
「あんたは邪魔にならないように下がってろ!」

這いずり跡のあった場所から梯子を登り、扉を蹴り開けた先で、いきなりクリスが声を張り上げた。
クリスとピアーズに挟まれるように行動していたグレーツは、ピアーズに吹き飛ばされそうな勢いで後ろへと追いやられる。
クリスの言葉に、咄嗟に隊員たちは各々に戦闘体制に入った。

「っと..そんなに力一杯押すコトねえだろうに」

あくまでも冷静に、グレーツはよろけかけた体制を整えながらピアーズたちの後ろ姿を眺める。
化け物を目の前に怯える様子もなく、むしろまるで見飽きたとでもいうような、興味もなさそうに暇そうな顔をしてただボーッとクリス達を見つめていた。
敵は二人と少なく、すぐに終わらせてこちらに歩いてきたクリスへと「もう終わった?」なんて軽い言葉を笑いながらかけるくらいに。

「...ああ、先に進むぞ」
「はいはい。にしても助かるよなあ、こういう専門家が居てくれるってのは」

行くぞと顎で指示をするクリスを尻目に、グレーツは「心強いよ」なんて言いながら、倒されたジュアヴォの横を平然と通りすぎてフッと笑う。
なにも怖がっていない、手慣れているその彼の様子を見て、さらにクリスが疑心感をつのらせたのは言うまでもない。




ジュアヴォのいた場所にあった梯子を登ると、屋上のようなひらけたところに出た。
その梯子の先に、また似たような梯子があり、警戒した隊員たちがそれを囲うように集まる。
クリス、ピアーズの間に挟まれるようにして梯子を上がりきったグレーツは暇そうに辺りを見回した。

「君はとりあえず俺のあとに続いて登ってくれ」
「で、そのあとにこの可愛い部下の狙撃手くんが続く、と。さっきと変わらねえってコトだろう?」
「それ、俺のコトを言ってんのか..?」
「他に誰がいるんだ?前髪を上げてる狙撃手のコトだよ。ん、ああ..それともこの呼び方が気に入らなかったか?それは失敬」
「......別に、勝手に言ってろよ」
「無駄口はあとにしろ、行くぞ」

話していた二人へとにらみを聞かせたあと、まずクリスは一人梯子を登っていく。
コツコツ、コツコツと音をたて、真ん中辺りまで登ったところで、不意にグレーツの体が影で覆われた。
何事かと慌ててピアーズは上を見る。どうやら、隙をつく気でいたのか、ジュアヴォが頭上から飛び降りてきたのだ。
真下に居たグレーツを目がけているかのように、綺麗にグレーツの目の前へと二体のジュアヴォが着地する。
目と目の合う距離。普通の一般人なら腰を抜かしていたかもしれない近さだ。
しかし、グレーツは一般人を名乗っているだけの人間にすぎない。もちろんいつもの冷静さを欠かすことなく、むしろ目の前の状況を楽しんでいた。顔には一応とってつけたような驚きを貼り付けながら。
いきなりの出来事に咄嗟に銃を構えたピアーズだったが、すぐそばにグレーツがいたために動けず、焦りの表情をひたすら浮かべていた。

「しまった..!おい、そこから早く離れろ!!」
「いやいや、無茶いうなって」
「くそ、これじゃ撃つに撃て..」
「..ファース!頭を下げろ!」
「...は? ちょ、え、うわ!」

クリスは梯子から飛び降りると、その勢いのままグレーツを無理やり伏せさせた。
いきなりの出来事に対応出来ず、グレーツから情けない声が出る。
クリスに覆いかぶさられるかたちで地面に屈伏するグレーツを確認すると、ピアーズは咄嗟に銃をジュアヴォめがけて放った。それを合図に、他の隊員達もジュアヴォに発砲する。

「......あー..」
「...............」

数秒間の沈黙のなか、二人の視線と視線がバッとぶつかる。鼻が触れ合いそうなくらい近くにクリスの顔があって、そのこちらを見つめる思いつめたようなクリスの顔がどうにも気に入らなくて、すぐにグレーツは目をそらした。







「怪我はないな」
「...おかげさまで」
「そうか、ならいい」
「..ちょっと痛かったけどな」
「隊長がああしてなけりゃ痛いじゃすまなかったかもしれないんだぜ、わがまま行ってんじゃねえよ」
「わがままじゃなく、単なる不満だっての。うっせえ、なにも出来なかった奴が喚いてんじゃねえよ」
「な、てめえ..!」
「ピアーズ。構っているな、さっさと先に行くぞ」
「あ、は、はい......チッ」
「は..ひっでえ言い方」

座り込んでいたグレーツを引き起こし、クリスはさも心配してなさそうに「大丈夫か」と声をかける。
グレーツは頭を摩りながらクリスの手を掴むと、皮肉交じりに言葉を返した。
倒されたジュアヴォが肉の焼かれたよな嫌な匂いとともに消滅する。
ピアーズはそんなグレーツを見て我慢出来ずに喧嘩越しでつっかかり、クリスはまたかと呆れたようにため息をつき、苛つきをあらわにしながら二人を睨みつけていた。






移動で一ページ使ったぞ!ありえん!(ちょ

3に続きます。


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↓下らないネタ(クリスキャラ崩壊)

「ひとつ聞いておきたい事がある」
「...あ?なんだよ(前もひとつとか言ってた気がしたけどまあいっか)」
「君は..おとこ、だよな?」
「...............は?いや、うんまあ、そりゃ見りゃ分かんだろ。んだよいきなり」
「いや、その..君の身体が妙に柔らかくって女性のような抱き心地だったものだから」
「............え、なにそれきもい」
「本当に男..なんだよな?」
「えーああ、うん..」引
「そうか...わかった、確かめさせてくれ」
「は?わかったってなにが、ちょやめろ、おまこっちくんな」
「大丈夫痛くしないからちょっとだけだから」
「はあ!!?」
「!!!? た、隊長!?気を確かに..!!」←ピアーズ

なにこれ( ゚Д゚)
主人公が助けられた瞬間こんなネタがなんでか浮かんでた(え

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