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 ようこそ、バンエルティア号へ



「ユウって、仕事覚えるの早いね..私なんて慣れるのに随分とかかったのに、凄いなあ」
「そう..か?俺はただ、言われた事をやっているだけなんだが..」
「ええ、言われたからといってすぐに出来るものではありませんよ。ひょっとしたら、元々はこういう仕事をされていたのかもしれませんねェ。はい、ココアどうぞ〜」


せっせと今日の分の仕事を終えたユウは、ホールに集まっていた、カノンノ キール パニールらと休息をとっていた。

カノンノの話しにユウが首を傾げていると、後からパニールが人数分のココアを持って来た。
机の上に、一つ二つと置くと、皆は個々に「ありがとう」と言う。


「それとも..もしかしたら、ユウは生まれたばかりのディセンダーだったりして」
「...でぃせん..?」


パニールの言った事に、カノンノは不意にそんな言葉を続けた。シャレの意味も含まれているのだろうが、ユウには意味がわからず、
その彼女の言い出した聞き覚えのない単語に、ただ不思議そうに頭を傾け、それは何と問いた。


「また始まった。あれはおとぎ話だろ?まったく..そんな非現実的な話で夢中になれるなんて、暇を持て余してる証拠だな」
「夢をみるのは、乙女の特権ですよ。私にはキールさんも暇そうに見えますけどねェ?はい、ココア」


ユウの問いにたいして、キールは「馬鹿馬鹿しい」「聞くだけ無駄だ」とでもいいたげに、呆れた声でカノンノの発言に反発的な言葉を返した。
それに、机の上に残りのココアを置きながら、今度はパニールが重ねてキールへと反発の言葉を発する。
そんなパニールに、キールは読んでいた本をパタンと勢い良く閉め、少し怒ったようにまた言葉を返した。


「暇なもんか!論文の事を考えると、頭が痛くて...」
「ツァイベル、でぃせんだー?というのはいったいどういう意味の..?」
「って、人の話しを遮るな!」
「悪い。...で、でぃせんだーというのはどういう?」
「...ああもう!分かった教えれば良いんだろう!ディセンダーというのはだな..」


パニールの言葉に怒鳴り散らしているキールを他所に、ユウはココアをすすりながら半ば強引にキールへと問いをかける。
それに、さらにキールは先程より大きく声を荒げた。


「ディセンダーというのは、世界の平和が乱れる時、世界樹が生み出す"勇者"の事だ。
生まれたばかりの勇者..ディセンダーは、世界の事から自分の事、何もかも知らない...つまり、現象的には"記憶喪失"という状態になっているらしい。まるで、今のお前の様にな」


ユウの問いに、キールはやけくそになって答えた。。
静かに、キールの言葉に耳を傾け、ユウは小さく相槌をうつ。
同じくキールの話しを聞いていたカノンノは、瞳をキラキラと輝いていた。


「何もかもしらないって事は、不可能も恐れも知らないって事よね!」
「本当に、カノンノはこのお話が大好きなのねェ」
「不可能も恐れも知らない..か。俺は、どうだろうな」
「最初にも言ったが、こんなものはただのお伽話にすぎない。あまり自分を重ね合わせるなよ」
「ホホ、まあ良いじゃありませんの。夢を見るのも大事な事だと私は思いますよ」
「キールったら本当に夢がないんだから」
「う、うるさいぞ!」



キールをからかいながら笑い合うカノンノとパニール。
そんな三人を見て、ユウは一人小さく微笑微笑んだ。









▽.おまけ
「俺が本当にディセンダーだったら、イアハートはどう思う..?」
「え?...うーん、やっぱりユウだったんだ!って、思う..かな?」
「やっぱり?嬉しくはないのか..?」
「えっ、ううん!嬉しいよ!ユウがディセンダーだったら、良いのにって思ってるんだから嬉しいに決まってるよ!」
「そうか..ありがとう、イアハート(ディセンダーか...目指してみようかな..)」




――――――――――
完全にディセンダーの意味を称号か何かと間違えてます、ユウくん。


とまあ..とりあえず、これでやっとこさ「ようこそ、バン(略」はおしまいです。次は2に行きたいと思います。
..が、まだネタも仕上げてすらないので今まで以上に遅くなるかと´・ω・`
このペースで最後まで行けるのかちょっと心配です...RM2やってこないと





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