惹かれあう、の主人公でジェイ主です。


「お前、昔親父に雇われてたスパイだったんだってな」
「ああ..嫌な過去だけどな。いわば黒歴史ってやつ」
「にしては、ずっと..親父が死ぬまでずっと一緒に居たらしいじゃねえか。嫌なら止めりゃ良かったってのに」
「嫌でも、一応仕事相手だったからな。金回りも良かったし..やっぱり人間、欲に勝てないもんさ」
「そういうもんか?」

たわいない話をする間に発展した会話。
あの男の話などしたくはなかったが、仕方ない。
ジェイクは俺が親父のクローンであることは知らない。

「俺は親父のコトは良く知らねえけど..あのおっさんが似てるって言うのもわかるかもしれねえな」
「知らないのに似てるって言われるのは、ちょっと不敏な気がするんだが?クリス・レッドフィールドが言ってたコトを馬鹿みたいに鵜呑みにすんなよ。本人を殺したような奴だ、偏見の塊でしかないに決まってるだろ」
「いや、確かにおっさんは信用ならねえかもしれねえけど..おふくろがたまに言ってた親父のコトとさ、なんか似てるんだよ、印象とか」
「...アンタの母親が?それは酷い言われようだ。どうせ良くない話しばかりなんだろう?女と子供をそっちのけで、やりたいコトをやるような奴、なんだからな」
「そうじゃねえよ。聞きたくないって、親父の話なんてろくすっぽ聞いてなかったし、ずっと俺もそう思ってたけど、今思えば..おふくろは一度も親父を悪く言ったコトなんてなかった。居ないことにだって、仕方ないって言うくらいだぜ?」
「......あ、そう。どっちにしろ、俺にとっては皮肉でしかねえよ。嫌いな相手と似てるなんて本当、最高な響きだね」
「お前さ、親父のこと嫌いっていうわりには..そんなに嫌ってふうには見えねえよな」
「......は、戯言を。大っ嫌いさ、あんな奴。まあ?嫌いなだけで嫌悪はなかったし、そう見えなくても不自然ではないだろうけどな」

それは事実だ。
嫌いだったが、嫌悪感まではなかった。
なにせ、俺の元の存在。いわば、親のようなものなのだから。
だからこそ─

「だから、あいつの子供であるアンタも、悪いが好きにはなれない。単なるエゴ、だけどな」
「俺と親父はちげえ..って言いてえとこだが、同じ血が流れてるコトは確かだしな...まあ、俺はあんたのことは嫌いじゃねえよ」
「そうか、嬉しくはないが、そいつはどうも」

だから、と続いた言葉に俺は目を丸くする。

「だから..親父のコトも、いずれ好きになってもらうぜ。そうすりゃ、俺のコト、好きになってもらえるだろ?」
「..これは随分なことを言う。好きになる?あいつを?は、すごい啖呵だな、面白い。だが..すまないが、その度胸は長続きはしないぜ」
「は、今に見てろ。あんたこそ、いつまでも威勢をはっていられるとは思わねえことだな!すぐに 好きだ って言わせてやるぜ」
「ああ、ご忠告ありがとう。ま、アイラブユーがアイキルユーにならないように..せいぜい頑張るんだな?坊主」

宣戦布告のような宣言に、俺は皮肉を返す。
内心、ガキの発言だと言い聞かせながら。
動揺を隠して。




─────
ジェイクに好かれる惹かれあう主の話。
色々捏造です

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