惹かれあう主人公とピアーズでピア→主



こいつはいつも余裕気で、俺のことを馬鹿にしているような奴だ。
今日だって、俺をからかうために俺の誘いを受けて喫茶店の中で一緒に昼飯を食べている。

「この店、当たりだな」
「ああ...この前初めて入ったんだけどな。野菜にこだわってるらしくてさ、ここの野菜は全部自家製なんだってよ」
「へえ......お前、食いもん選びだけはいいよな。お前と来る飯屋はいつも美味い」
「気色悪いこと言うなよ..お前が他人を褒めるとか似合わねぇ」
「悪かったな、俺は良くも悪くも素直なんだよ。お前とは違って」
「そうかよ..」

この前食ったステーキも美味かったと言うこいつに俺は気持ち悪いと言って眉を寄せる。
サラダにフォークを立てて、シャキシャキとした食感を口の中で味わいながら、若干むすっとした表情で俺を見ると、口の中のレタスを飲み込んでからお返しと言わんばかりに皮肉混じりの言葉を返して来た。
いつもはヘラヘラ笑いながら言うくせに、なんだよ...今日はマジで素直に俺の言葉を受け取りやがって。
ガキみたいに不貞腐れて、またサラダに視線を移しフォークを刺したこいつから、俺は逃げるように視線を逸らす。

最初までは憎たらしいと思っていた。それからだんだんとこいつのことが気になって行って、顔を見るたびに照れ臭くなって、自覚してから姿を見つけるだけで恥ずかしくなって、今では可愛いとさえ思ってしまうこの気持ちが嫌になっている。

こいつは面白半分に俺をからかってるだけだ。こんなムカつくやつを可愛いとか何かの間違いだ。愛おしく感じるとか好きとか絶対にない。ありえない。

俺もこいつも素直じゃないのは誰もがしっている。いつものことだ。
だからと言って、これだけは認めたくない。俺がこいつのことが好きだという事実だけは!

「ほんとこれ美味いな...なあ、ピアーズ?...って、お前ほとんど手つけてねぇじゃん。どうした、お前野菜嫌いだっけ?」
「えっ.........ち、ちげーよ。今から食うし、なんでもねぇよ」

ほんとに美味そうに、幸せそうに笑いながら食ってんじゃねえよ。無意識だろ、絶対無意識にわらっちゃってんだろ。
あー、可愛い。もう、可愛いでいいよ。認めるよ。
もうお前と居られるだけで腹いっぱいなんだよ、こんちくしょう。

サラダを食べながら、美味いなと呟くこいつの顔はだらしなく笑っていて、俺のことを見てきたこいつの顔もまだいつものような皮肉混じりの笑いを貼り付けた顔ではなく、素直に疑問を浮かべながら首を傾げた顔で、不覚にもキュンとしてしまった。くそ、いつもこう素直なら可愛いのに。
いつもの馬鹿にしたような笑いではなく、きっと本心から笑ってんだろう。
そういうたまに見せる余裕のなくなった顔とか、皮肉なしで笑う姿とかがたまらなく可愛くて、自分よりほんの少し背の高いこいつを、俺は愛おしく思ってしまう。
「こいつも、こんな顔が出来るのか」
俺はこいつのことなんて何も知らない。だから、いつもそんなんばっかりだった。


「なんだ、食えないなら俺が食わせてやろうと思ったのに。あーん、てな」
「は、はあ?ふざけてないで自分のぶん食ってろ馬鹿」
「つれねーなー、たまにはいいだろ、こういうのも」

「なんでもない」という俺の明らかに何かを隠しているであろう返事に、首を傾げていたこいつはニヤリといつもの可愛げのない顔へと変え、笑う。
あーん、という声とともに向けられたフォークに、俺は照れ臭くなり、動揺しながらやめろと顔のまえに手を出し、拒否を表す。
こいつ、ことグレーツはフォークを向けるのをやめると、恥ずかしくなって顔を背けたピアーズに対して、

「せっかく、デートっぽいことしてるんだから、そういうことしたってさ」
「はあ!?な、なななに言って..!!?」

恥ずかし気もなく、デート、とそう言った。ニヤニヤと皮肉混じりに笑うグレーツ。
「何言ってんだ」叫んだピアーズの顔はサラダの上に乗っていたトマトよりも真っ赤になっていた。














主「俺よりも、狙撃手くんの方がよっぽど可愛いと思うがねぇ...いちいち俺の態度の違いに反応してたりして......いや、なんでもねえ」
ピ「え?」
ク「なんて策士なんだ」
ジ「ざまあねえな」
レ「まあ、グレーツがほんとうに素直なのは俺と二人きりの時だけということさ」
ジ「おっさん、自惚れも大概にし..」
ピ「それも絶対に遊ばれて..」
主「何言ってんだスコット、そんなわけ......ないだろ。変な事を言いふらすのはやめてくれ..」
ジ「」
ピ「」
ク(レオンの一人勝ちだな)

全て計算尽くよ、な主人公君でしたオチ(レオンにだけは素直)

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