バレンタインでピア主


「これを、俺に...か?」
「.........おかしいかよ」
「いや。別に、ただあんなにも俺を邪険にしていたお前が、わざわざ俺にプレゼントとかいう馬鹿げたことをするなんて、なにを考えてるんだろうなあと。しかも、バレンタインなんてくだらない行事ごとに乗っ取ってチョコなんて甘ったるい菓子を渡してきてるんだから、笑えないわけがないだろう。ああ!女の子にもらったんだが俺甘いもの苦手だから!という設定か?いやー、実に傑作だ!素晴らしくてあくびが出ちゃうよ!そういう設定ならありがたくもらわせてもらうよ!...なんて、言えばいいのか?ジョークとしての完成度も相当低いし..笑えねえ冗談はやめてくんねえか?」
「...............」
「ま、勇気を出して俺なんかにくれた努力の代物だからな、もらってやりたいのはやまやまなんだが....悪いな、俺も甘いもんは嫌いなんだ。気持ちだけもらっておくよ、どうも」
「.........は?」
「いや、だから、返すわ」
「はあ!?...おまっ、お前なあ!!」
「はいはい。要らねえもん返して何が悪いんだよ。逆ギレすんな。プレゼントの押し売りはやめろ、見苦しいだけだぞ」
「お、お前......」
「そうしょげんなよ、気持ち悪いな............おい、ピアーズ」
「.........んだよ」
「手、だせ。チョコ、返せねえだろ」
「.........お前って本当くそだよな」
「今更だろ。いいからさっさとしろ、ほれお手」
「チッ......俺は犬じゃね........はっ!!?」

振り向いた瞬間、すぐ近くに呼んだ奴の顔があって、近いと思う暇もなくぐいっと腕をつかまれ、ピアーズは体勢を崩して引っ張られた方向に傾いた。
それは必然的に顔にさらに近づくかたちになって、ピアーズから驚愕と焦りの声が出る。
そして、ピアーズの唇に何かが触れて、気づいた時には腕から手を離されて、さささえがなくなったピアーズは尻餅をついて目を見開いていた。

「やっぱ甘え.........ちゃんと返したからな。ホワイトデーとかはナシだぜ?」
「は?......え?」
「冬にはもっといいプレゼントを期待しているよ...じゃあな、臆病者な狙撃手くん」
「.........え..?...えっ..?ちょ、まっ...!」

口の中に残るのは、苦いチョコの味。
それはそうだ、渡したあのチョコはビターだったのだから、苦いのも当たり前で...なんで俺があげたチョコの苦さを実感しているのかというのはつまり、つまり今俺は、

あいつにチョコを返された。

そう、あいつが口にくわえていた俺のやったチョコレートを、

口移しで。



驚きと困惑で視点が定まらなくなる。
口移しということは、ようはキスをしたということで、
思い出せば思い出すほどに混乱してわけがわからなくなる。
別にそういう行為が初めてなわけではない。ないけど、でも、俺はあいつとしたという事実がただただしんじられなくて、ああ唇やらかかったとかそうじゃねえとか頭の中があいつでいっぱいになって、
理解した途端、身体が熱くなって、やるだけやっていなくなったあいつのことで頭がいっぱいになって、俺はその場で頭を抱えてへたりこんでいた。
ガチャリという音がして、あいつが本当に帰ったのだと知らされる。
それからまもなくして、またからかわれて逃げられたのだと気づいた瞬間、
あいつの名前を叫んでしてやられた悔しさに、あとからとてつもなく恥ずかしくなって、
クリスマスには今度こそと誓ったのだった。


「つぎこそは絶対に捕まえてやるからなあああ!!」
「ああ、待っててやるから、早く俺をしっかり捕まえてくれよ。じゃないと違う奴に掴まれにいっちゃうぜ」
「えっ」
「スコットとかケネディとかレオンとか」
「それ一人じゃねえかよ!!!」



ピアーズの気持ちに気づきつつそういう時になったら逃げ出すピアーズをからかうのが大好きな主人公くんぺろぺろ。
時期外れにもほどがあるフライングバレンタインネタですが何も気にすることはry((

クリスマス?なにそれ仕事が忙しくなる日かな?私は知らないな!(泣)←

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