稀有な日



「ついさっき聞いたばかりで、こんな持て成し方しか出来ませんが..」

コップの中の氷をカランと鳴らしながら「すみません」と、申し訳なさそうに青年は苦笑う。

「そんなに、気にしなくても良いさ」
「いえ、四代目には色々お世話になりましたから 私なりにはもっとしっかりとした事をしてあげたかったのですが..」
「別に、俺はこれで十分嬉しいんだがな」

そう言って、桐生さんは優しく微笑む。
気を使わせてしまったように思えるが、きっとこれは彼の本心だろう。

「今日は私の奢りですので、遠慮せずに飲んで下さい。こんな事しか出来ませんから」
「ああ、ありがとう。そうさせてもらうぜ」
「来年は、ちゃんと準備してお祝いさせて頂きます」
「そうか それは、楽しみだな」

続いて、ニコリと笑ってそう言えば、
桐生さんは同じく微笑み「期待してる」と言わんばかりに、青年の頭を軽く撫でた。


「では、とりあえず私から一つ マスター、その一番隅に置いてあるヤツを彼に願いします」
「お おい、それは、」

続いて「プレゼント」と、店の中で一番高いお酒を店員に要求したら、桐生さんは不安そうな表情で驚きの声をあげた。



(とゅーゆー)


それ、軽く10万は超え 大丈夫なのか?

私だってとおに成人している身ですから、そのくらい何の苦にもなりませんよ。むしろ金なら今有り余ってます。

あ、ああ、そうか そうだよな、もうお前も子供じゃないもんな..

いや、私は貴方と会った時はすでに成人してましたけど アンタ私をいったい何だと思ってるんですか。



 まるで親子酒とでも思ってる桐生さん。   
 子供が大金はたいてるみたいで焦ってる。





―――おまけ
「自分、桐生チャンにちゃんと言った通りの事して来たかぁ?」
「いや、あんなふざけた命令わざわざ実行するわけないでしょう」
「なんや、おもろない!自身がプレゼントです(はあと)発言を楽しみにしとったのに..!」
「..アンタの誕生日が来た時には、とびっきりの鉛弾をプレゼントして差し上げますよ」


 真島から聞いたんだってオチ

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