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感謝心
目を覚ましたら、そこは見知らぬ事務所の中だった。
こざっぱりとした部屋の中、ソファーの上にシャツ一枚で寝かされていた。額には、水で湿らせてあるタオルが乗せてあって、身体中には丁寧に包帯が巻かれていた。
これは、どういう状況だ。
ボーッとする頭の中、何が起きているのはを整理するが、全くこの展開に見に覚えはなかった。
「起きたのか、身体の方はどうだ?」
「!?」
考え事をしていた時で、頭がついて行かなかったのか、いきなり目の前に現れた男性に驚き、ビクリと身体震わせて飛び起きた。
その瞬間、身体が酷く痛み、ふと顔を顰める。それと同時に、痛みに耐え切れず、勢いのまま成司はソファーからドサリと音をたてて落ち、その衝撃でさらに顔を顰めた。
男性の方は、その状況に、唖然とした表情でこちらを見つめている。
成司が痛いと呻き出すと「大丈夫か」と心配そうに手を差し延べてきた。
「まさか、驚かれるとは思わなかった」
「..いきなり声をかけられたら、誰だって驚く」
「そうか、それは悪かったな」
クスクスと笑う男性に、先程の行為が恥ずかしくなったのか、成司は項垂れ、ムッとした表情をした。
「それより、怪我の具合はどうだ?」
「アンタが、手当をしたのか」
「ああ、そうだが 何か問題があったか?」
「いや 別に、」
そういえば、先程まで不良にやられていたような気もする。
意識がほとんどなかったせいで、記憶が曖昧だが、何となくそうだったような感じがある。
なら、助けてくれたのもこの男性なのだろうか。最後に聞いた声も、彼のものだったのだろうか。
「..助けたのも、アンタなのか」
「不良に襲われていたのを、という意味か?」
結局、気になって問い掛けてしまった。
「アンタ、なんだな」
「否定はしない」
「そう、か」
良かったような、良くなかったような。
やられていた姿を見られた事になるわけなら、否定してもらっていた方が気が楽だったかもしれない。
「どこか行くのか」
「血が滲んで来ている、そろそろ包帯を変えた方が良いだろう」
歩き出した彼に問えば、そう言葉が返ってきた。
傷に目をやると、シャツにまでは染みていないが、うっすらと透けて赤が見える。
「そういえば、包帯がもうきれていたな 買いに行ってくるか」
「わざわざ、そこまでする必要は、」
「どうせ、なければ困る。ついでだ」
「そう、か」
ハンガーにかけてあったスーツを着込み、男性は「待っていろ」と告げると背を向けてドアの方へと歩き出した。
「待て!その、あの 迷惑をかけた..」
「それは どういたしまして、と返すべきか?」
部屋を出て行こうとする、彼に向かって、慌てて声を荒げる。目線は反抗して、男性から少し離れた場所を見ていた。
男性は、そんな来間の行動が面白かったのか、ニコリと悪戯に微笑みこちらへと振り返る。成司はそんな彼に、恥ずかしさのあまり、さらに視線を遠くへとずらし、ほんのり顔を赤らめた。
ありがとう、と素直に言えないから仕方なく絞り出した言葉。しかし、彼には意味が伝わってしまったようだ。
無理矢理感が凄い。
新井の口調を敬語にしようか迷ったけど、結局タメに落ち着きました。もしかしたら後々変わるかもしれないけれど(^ω^←
裏設定というかで、主人公のイメージが気持ちOTE主だったりしないです(ぇ
てか、わざわざ新井さんって物買いに行くような人じゃないよね。城戸ちゃんどこいったし^^^
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