<1/1>

 発展劇




「そっちは、 終わったみたいですね」
「おう、 今片付いたわ」
「一人で倒してしまうなんて.. 流石というか、 なんというか」


倒れたまま動かないでいるアラハバキを、大吾さんと真島さんは静かに見つめていた。
成司は、背後から迫ってきているゾンビ達の姿を尻目にやり、やれやれとため息をつく。

「邪魔も居なくなったわけだし、 一旦ここからはおさらばしましょう」
「そうだな。 これだけの数を相手にしても、 キリがないだろうし」
「しゃあないわな」
「良い場所にマンホールもありますしね」


マンホールに目をやれば、丁度そこから先程のホームレスが顔をだし「こっちだ」と、こちらを急かすように手招きをして来た。グッドタイミング、と成司は笑う。
そして三人は顔を見合わせ、先程と変わらず目線だけで合図をすると、背後を気にしながらも一直線にそこへと走りだした。

大吾さん、真島さん、その後に成司が続く。マンホールへは、差ほど遠くはなく、すぐに到着した。
しかし、それは周りに居たゾンビ達にたいしても同じだ。一番後ろを走っていた成司の背後には、既にゾンビの姿が迫っていた。マンホールまで、まだ少しある。これでは間に合わない。
振り返り、背後を見た成司は、小さく「しまった」と言って舌打ちをした。
と同時に、群がってきたゾンビ達へと勢い良く回し蹴りを食らわせてやった。


「成司、 何してるんや! 早う来い!」
「いえ、 私はここで奴らを食い止めておきます。 お二人は先に行っていて下さい」
「何を言ってるんだ、 良いから早く来い!」
「六代目の命令でも、 それはちょっと無理ですね.. 私はこれでも、貴方の部下なんです。 たまには、らしいことをさせてください」


後ろの状況に気付いた真島さんが、成司へと声を荒げた。しかし、成司は聞くどころか、反抗的な態度をとる。
それに、大吾さんも続けて声を荒げて怒鳴り、こちらに焦った表情を向けた。
だが、未だ成司は反抗的な態度をとり続け、ゾンビ達にもう一度蹴りを食らわせる。そして、彼は心配を裏腹に「行け」と、二人に急かすよう、強めの口調で叫んだ。



「....行くで、 大吾」
「ま、 真島さん! まさか、 成司を置いていく気ですか!?」
「せや」
「そんな..!」
「大吾、 考えてみい。 成司は、 ワシらの為にゾンビ共の足を止めたんやで? このまま戻ったりなんかしたら、 あいつの行為を無駄にするっちゅう事になってしまうやないか」


真島さんの口から、そんな言葉が出てくるとは思わなかった。
しかし、正論だ。それにどうせ、助けに来たところでこれだけのゾンビを相手にしながら逃げ直す事なんて出来る訳がない。そろってゾンビになるのがオチだ。それなら、犠牲は少ない方が良いに決まっている。
大吾さんは、真島さんの言葉に納得したのか、顔を俯かせ、小さな声で「すまない」と呟き、
一瞬だけ成司の姿を確認すると、真島さんに「行きましょう」と告げ、マンホールの中へと入って行った。
大吾さんの言葉に頷くと、真島さんも同じように成司の姿を一瞬だけ確認して、何かを一言呟いた後に、静かに大吾さんの後へと続いていった。
最後にホームレスがマンホールへと入って行く。
そして、成司を地上へと残したまま、蓋はゆっくりと閉じられていった。





お約束出来事
(死ぬなよ、絶対に)



「成司、 無事でいてくれ..!」
「成司なら大丈夫や、 絶対に生きて帰ってくる..(俺より先に死ぬなんて許さへんからな)」
「ああ、 流石にヤバいかもな..(でも、きっと真島さんの方が..)」



ありきたり過ぎる話しなのは仕様でs
それにしても、大吾の口調が敬語の時、主人公と区別ができなくて困る。あ..主人公が目立たないのはそのせいなのかな、うん(←

次は本編関係ない創作話しになります。というか、一気に飛んで龍司編に入ります|ω・`)多分ですが

(2012/3/5)



戻る
トップへ戻る
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -