制服のまま、プールにダイブ!!
第三体育館倉庫の片付け及びプール開きのための荷物運び。それが私と緑間に課せられた使命だった。そう、私たちは二年三組の体育委員だった。つまりはじゃんけんで負けたのだ。
「少し用事を思い出したのだよ」
「逃げんな」
倉庫に辿り着き、扉を開けた瞬間に放たれる異臭。飛び立つコウモリ。(こうもり?!)そう、明らかにここは樹海であった。村中は体育館倉庫までも私物化したというのか。
「掃除しているうちに風土病にかかりそうなのだよ」
緑間が鼻を押さえる。
「二人じゃ無理なのだよ」
「私もそう思うのだよ」
ということで、帰ろうとしていた青峰捕まえてきました!
「やめろー!俺は帰ってゲームするんだ!」
「三人でも厳しいと思うのだよ」
「私もそう思うのだよ」
「俺の話を聞け!」
ということで、緑間のツテで結局バスケ部全員集合です!黄瀬と青峰はなんかぎゃーぎゃー文句垂れてますけど全く聞こえません!よ!
6月のテスト期間。テスト後にはプール開き、体育祭とさまざまな行事が待ちかまえているので体育委員は忙がしい。毎日呼び出しだ。これで良い点とれなんて言うから先生は鬼だ。
樹海から何とか大量のビート板を発掘した。カビ、きのこ類の生えているものを除外した後、台車を探して、青峰、赤司、私は並んでプールサイドを歩いていた。緑間には引き続き倉庫の開拓を頼んでいる。今頃はきっと鼠と仲良くやっていることだろう。(私は確かにパーを出すと言った。信じなかった緑間が悪い)黄瀬は早速飽きたようで、プールサイドで後輩達とバレーボールに興じていた。ちなみにむっちゃんはお菓子の買い出しに行ったきり帰ってこない。
「あ、まなっちボール行きました!」
「え?」
ゴッ!という衝撃音とともに、目の前に火花が散った。音からして、どれほどの威力だったか想像してほしい。(…凄まじく痛い!)
「〜〜っ!」(ぬぬぬ!)
大きくよろめいた。近づく水面。(っ落ちる!)まさにプールに落ちかけたというそのとき、「まな!」やだ落ちたくない、と赤司に手を伸ばした。赤司は既に私に向かって手を伸ばしてくれていてすぐに指から触れ合った。手と手はしっかりと繋がれ、ぐっと強く引き寄せられる。(あ、危なかった…)ありがとう赤司と御礼を言おうとした時に異変に気付く。「うおおお!」「あ、青峰?!」なんと青峰は奇声をあげながら自らプールに飛び込んでいった。派手な水しぶきがあがったプールを見ながら私も赤司も絶句である。
「青峰!何を考えてるんだ!」
「馬鹿だからって早まるな!」
「ちげーよ!」
後から話を聞くと、青峰も私を助けようとしてくれていたらしい。しかし私は赤司に引き寄せられたので青峰の手は盛大に宙で空振ることになった。そして自らプールに飛び込むことになった、だそうだ。
「あっははははは!」
「ひでーな!」
「だっておかしいの、あはははははは!」
「なんで俺はお前なんか助けようとしたんだろう」
でも、
「青峰、ありがとうね」
と言えば照れたのかふいっとそっぽを向かれた。「おう」と小さな返事が帰ってきた。赤司と顔を見合わせる。
うん、やっぱ青峰はいいやつだ。