クレイジーガール とぅー!


「南十字美代子。好きな人の困った顔を見るのが好きという異常な性癖を持つ。元青峰のストーカー」「アホ峰ゆえに嫌がらせに全く気付かれず最近は飽き飽きしていた」「今はまながお気に入り」なによ赤司君。わざわざ調べたの?「あまりちょっかいを出さないでもらえるかな」「嫌よ。あの子ったら反応がすごく良いんだもの。ぞくぞくする」なんて言ったら蔑んだような顔で見られた。きゅん。



「わあ嬉しいな。まなちゃんとお風呂だなんて」
「そ、そうだね」
「まなちゃん、固いよ」

今日はまなちゃんと二人で銭湯にやってきた。まなちゃんが断れない性格なのを利用して無理やりあたしが誘ったの。まなちゃんがなかなか脱がないから手伝ってあげると案の定嫌がった。「わわ!パンツくらい自分で脱げるよ!」なんて顔を真っ赤にするからあたしは胸がきゅうきゅうする。

「あれ!桃井じゃん!」
「えー!まな、どうして?」

浴場に行くとなんと桃井さつきがいてまなちゃんが喜んだ。バスケ部の練習の帰りにレギュラーみんなでお風呂に入りに来たらしい。ということは男風呂には赤司君がいるのだろう。ああっまなちゃんを困らせるチャンスキタコレ!

「まなちゃんおっぱい小さくて可愛い」むにむに「っいやあ!」ぞくぞく。「まなちゃん柔らかいね」と一方的に触っていると「まなが嫌がってるでしょ!」桃井さつきが入ってくる。黙れFカップ。

「まなちゃん、あたしとあっちで洗いっこしよう。桃井さんが邪魔だから」少し挑発すると「なっ!まな!私とあっちで洗おう!」と簡単にのってきて馬鹿だなこいつと思う。「ちょ、ちょっとストップ!」あたしと桃井さつきに引っ張られてまなちゃんは困惑しちゃってるみたいだ。「さ、三人で洗おうよ」なんて中立の立場を守ったつもりなんだろうけどそれが一番むかつくのよ。

「や、やめて!きゃあ!本当にやめてって!やめてくださいっ!二人とも!」「なんで?こんなに柔らかいのに」泡がまなちゃんを包んでる。あたしが洗ってあげると面白いほどに嫌がった。どう赤司君聞こえてるかな?壁がうすいからまなちゃんの声なんて丸聞こえでしょう?男風呂が異様に静かで面白いわ。「私、出る!もうやだ!」ついに怒ってまなちゃんは出て行ってしまった。あーあ、まなちゃん怒っちゃった。桃井さんのせいだ。



もちろん追いかけると、まなちゃんは黄瀬君と話していた。「やっほ黄瀬!いたの?」「…まなっち」黄瀬君の顔が真っ赤なことにまなちゃんも気がついたみたい。「…全部聞こえてたっス」「へ、」「みんな無言で下向いて…あれは異様だった…」なんて黄瀬君の後ろで緑間君もそっぽを向いた。まなちゃんはしばらく逡巡した後、すぐに真っ赤になって三人ともまるで林檎みたい。



まなちゃんは赤司君と二人でベンチに座っていた。いつぞやのココアを思い出す。赤司君は平静を装っているようだけどなんだかぎこちなく見えた。まだまだ青いガキね。「まなちゃん。こんなところにいたの」「あ、」まなちゃんの飲んでたサイダーを無理やり奪ってあたしが飲んだ。間接キス。ココアのお返し。「赤司君もこんにちわ」「やあ」軽く睨みつけられたような気がした。ぞくぞく。あーあたしの悪い癖。赤司君もまなちゃんも困らせる画期的なアイデアを思いついちゃった。

「ねえねえ赤司君知ってた?」「まなちゃんてね、」「こーんなに柔らかいのよ」と赤司君の手を取ってそのまままなちゃんの胸にポスッとあてる。「なっ…!」赤司君はいち早く反応してあたしを払いのけようとしたけど許さない。そのままむにゅむにゅぐにぐにと動かせば、ねえあたしのおかげでまなちゃんの胸揉めてうれしいでしょ赤司君。まなちゃんにこのまま嫌われちゃえばいいのに。「い、イヤアアア」まなちゃんが叫んでサイダーを落とす。思わず立ち上がって赤司君をどつこうとしたけど後一歩のところで思いとどまった。そこはどついてよ、つまんない。まなちゃんは赤くなったり青くなったりを繰り返した後、「お、お嫁にいけない!」と叫んでから出て行ってしまった。ねえ今どんな気持ち?プライドズタボロでしょう赤司君。きゅうきゅう。

「お前の人生を壊してやろうか」

なんてドスの利いた低い声で言われた後、赤司君はまなちゃんを追いかけていった。きゅん。
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