ふんわりしている。私の体も、こころも、まるで雲の上で眠っているみたいに、ふんわりしている。実際、雲に乗ったことはないから、その感覚に勝手になまえを付けてみただけだ。

遠くで、風鈴の音がする。お腹が重い。何か乗っかっているみたいだけど、指や腕がうまく、動かない。やがて、体を動かそうと努力することが億劫になる。



ふっと意識が浮上して、私は眠っていたのだとのろまに働く脳で気付いた。ゆっくりと、まぶたを開く。


「ああっ!気が付いたんですね、よかったぁ…。」


なのちゃんが大きな目を潤ませながら、安心したように息を吐いた。西日に照らされた瞳が、すこし眩しくて、私はまた目を閉じる。
東雲研究所の縁側に差し込む夕陽が、私となのちゃんを包み込んでいた。お腹に座っているのは阪本さんみたいだ。案外重い。

そういえば、私、はかせが落とした発明品を踏んじゃったんだっけ…。それで、たしか、こう…ビリビリっとして…。ああ、感電したのか、よく生きてるなあ私。一歩間違えれば死んでたかも、なんて呑気に考えてる自分がおかしいや。
口元に笑みを浮かべている私を、頭がやられたのではと心配したらしいなのちゃんは、「大丈夫ですか?」と聞いてくる。目を開くと、眉尻を下げて私を窺うなのちゃんがいた。やだなぁ、別に大丈夫なのに。
平気だよ。と小さく呟くと、なのちゃんはまたほっとしたように溜め息を吐いた。…それにしても。

「きもちいいなあ…。」
「えっ?」


口を動かすと、ぐわっと眠気が襲ってくる。再び目を閉じて、なのちゃんみたいに息を吐くと、それは更に加速した。膝枕って結構きもちいいものだな…あったかいし。…そういえばなのちゃんロボじゃなかったかな…なんであったかいんだろ…。あとお腹…あつい…。


「猫の体温はんぱないです…。」
「ええっ!?」


もうちょっと寝るね、と小さく口の中で言って、なのちゃんの返事を待つ。しばらくして、はい。と笑っているような返事を耳にいれて、私はまた雲の上へ。




提出「なまえをちょうだい」

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -