遠くで海鳴りが聞こえたあの日、世界の果てを見た。



昔、手を握ることが大好きだった。しかし今、その行為を受け止める私はもういない。受け止められないのだ。素肌が絡むあの幸せな感触。そして握るたびに綻ぶ彼の顔はもう無い。これが大きな基因だろう。

昔、賢者と謳われ聖女と誉めそやされた。しかし今、私の知識は寂れ果てた地球のように広がりを見せない。聖女の魂も同等に薄れ、掠れ、廃れ、錆付いた。そうだ、私はもう博識でない。底辺を這いずり回る脳しか持たぬ。突き破られた性器しか持たぬ。そして褒められる度、謳われる度に私より嬉しがった彼はもういないのだ。





「山崎さん」



私の唯一愛した人よ、何故貴方は私の心と共に朽ちた。私の心を殺したのは他の誰でもない貴方であろう。人間の持てる全ての愛で、貴方は私を殺しただろう。貴方の為に、人間の情も教養も処女もかなぐり捨てたというのに何故何故何故何故何故何故何故


少女よ、生きることに意味を見出しなさい



何も無い私を置いて、何故貴方だけが死したのでしょう。
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