桂さん、と呼んで手の中の鎖を強く握り締める。冷たくて無機質の金属で構成されたそれは、まるで今の彼その物を象徴しているようで恐ろしい。そして私は、その彼に従する愚かで馬鹿な女なのだろう。
刹那首の金属輪が肉に食い込み、手前に引き寄せられた。中枢神経が麻痺するような、そんな引き方。


「御主は愚かだ。なあ、女殿ォ」


彼の、甘味であり猛毒のような伸びた声、臙脂に染まった瞳が視線全てが私に向けられ、そうしてずるりと左目の下を舐められた。その時の、じゅるじゅるとした唾液が涙のように滴った。ええ、ええ、私は泣いてなどいないのに。
同じように右目の中をぎゅるりと舐め回され、挙句、睫を唇で引きちぎられた。気持ち悪い気持ち悪い気持ち。

嗚呼、柔らかな唇の、どこにそんな力が眠っているのやら。



少女よ、生きることを諦めなさい



途端に首に食い込んでいた金属輪が放され、胃の奥、腸の奥より果てから血を吐いた。彼に目玉を舐められた未知の感覚に痺れたのだろうか。はしたなく口の端から唾液が垂れる。ねえ、これは私の唾液でしょうか。それとも彼の物でしょうか。



暗幕がかかっていく視界の奥に、泣きじゃくる幼き彼を見た。
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