「おいこら。こんな時間まで起きてんじゃねえよ」

「あんた私のお母さんですか」

「誰がお母さんだ。明日の業務に支障をきたすから早く休めっつってんだよ」

「なんだか眠れないんです」

「なんで」

「ちょっと、いろいろあって」

「……そうかよ」

「副長」

「あ?」

「私どうしていいかわからなくて……」

「……」

「こわいんです」

「刀か」

「え、なんでわかったんです?」

「お前のことなんざ、お見通しなんだよアホが」

「……」

「おら、素直にぶちまけろ。聞いてやっから俺が」

「怒りませんか」

「怒らねえし切腹もさせねえよ。安心しろ」

「ふ、副長……!一生ついていきます!この命、尽きるまで!」

「わかったから、さっさと言ってみろ」

「……実は、」

「おう」

「昨日、非番だった土方さんがお部屋で寝てたときのことなんですが。沖田さんと真剣でチャンバラやろうぜって事になって普通の刀じゃおもしろくねぇってんで土方さんのおニューを枕元からかっさらってきましてその刀で遊んでたらいつの間にやら沖田さんも私もついつい熱が入ってしまってそんな最中土方さんの愛刀真っ二つに折れちゃったんですよね。なんとか接着剤でくっつけてそのまま鞘におさめて枕元に戻したんですけど悪気はなかったんです買い直すお金もなかったんです本当に申し訳ありませんでした」

「………」

「あれ?土方さん?」

「ばっ、折っちゃったのォォォォォ!?コレ!?」

「はい。まさに今、腰に差していらっしゃるそれです」

「は!?昨日っつったよな!?おまっ、もし俺が今日その辺で斬り合いにでもなってたらどうなってたと思う!!!!」

「お亡くなりになってたと思います」

「思いますじゃねェェェ!てめえふざけんじゃ、……あれ?抜けねえぞコレ!どうなってんだァ!!!」

「あ、接着剤が乾ききってないまま鞘におさめたので、恐らくくっついてるのかと存じます」

「存じますじゃねェェェ!!!間違いなく敵に斬り殺されるわこんなもん持ってたらァ!!てめっ存じ上げてた癖に今の今まで黙ってたのか!!!」

「副長の嘘つき!怒らないって言ったのに!」

「うるっせェェェェ!!副長の刀に何らかの細工をした者、切腹申し付けべく候なりだコルァ!!!!てめえそこに直りやがれ!!俺が介錯してやる!!」

「切腹もなしって言ったのに!副長の嘘つき!」



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