自然と眠りから覚めたときは、頭がすっきりしていて気分がいい。ゆっくりと目を開ければ、カーテンの隙間から容赦なく朝日が差し込んでいた。仰向けのまま前髪を掻き上げる。そして隣を見ると、いつものように可愛い寝顔の恋人が寝転んでいた。布団からはみ出している華奢な肩と白い首筋が色っぽい。ああ、そうか。昨日は疲れてたから、あの後そのまま寝ちゃったんだっけ。だからふたり揃って素っ裸なわけね。俺は未だ規則的な寝息を立てているなまえに軽く口づけ、起こさないよう出来るだけ静かにベッドから抜け出した。着替えの支給忍服とタオルを取って、風呂場に向かう。今日は朝からナルト達と任務がある。いつも遅刻してばかりだから、たまには早めに行ってやろうかなあと出来もしないようなことを考えながら、熱めのシャワーを頭から浴びた。風呂から上がって着替えを済ませ歯を磨き、いざ出陣というところでベッドがギシリと鳴いた。

「おはよ」
「んー…もう行くのー?」

振り向くと、一糸纏わぬ恋人がベッドの上で目を擦っていた。まだ寝ぼけているのか、間延びした声がなんとも可愛くて、頬が緩む。

「今日ナルト達と任務があるからねー」
「ふーん…」

のそのそとベッドから出て、床に落ちていた一枚の羽織りを素肌の上にだらしなく羽織った恋人は、玄関に向かおうとしていた俺にゆっくりと近付いてくる。いつものように見送りをしてくれるらしい。毎度毎度、新婚みたいだなあと考えてしまう。さらに頬が緩んだ。

「今日は早く帰る?」
「んー、夕方には。Dランク任務だろうし」
「そっか。あたしは今日お休みだから、ご飯作って待ってる」
「ありがとう」

玄関までの短い廊下をふたりで歩いている間、なまえはまだ眠そうな重い瞼を頑張って持ち上げていた。そんな様子が可愛くて、頭を撫でてやったらなまえは俺を見上げてふにゃりと笑った。

「じゃあ、行ってくるから」
「うん。気をつけてね」

玄関で靴を履いてもう向き直ると、なまえの細い腕が俺の首に巻き付いてきてそのまま引き寄せられた。背の低いなまえが精一杯つま先立ちをして、軽く触れる程度のキスと、その後のやわらかな笑顔に堪らなくなって、玄関にも関わらず思いきり抱きしめた。そして華奢な体を壁に優しく押し付けて今度は俺からキスを。鼻と鼻が触れ合うほどの距離で見つめ合っていると、ぺろりと下唇を舐められた。なまえの行動のひとつひとつが、いつも俺にぽつぽつと火を点けていく。うまく働くはずの理性が、彼女の前では簡単に霞んでしまうから困ってしまう。目の前の顔が嬉しそうに、笑った。

「ふふっ、腰…あたってるよ」
「…なまえのせい」
「どうして?」
「お前があんまり可愛いから」

だめだと頭ではわかってるのに、手はなまえのはだけた白い胸元めがけて滑っていく。首筋に顔を埋めてやんわり噛み付けば、同時に甘い声。じわじわと体を満たしていく心地よい熱に身を任せながら、心の中で自分を待っている部下達にこっそり謝った。


だって愛しい


「カカシせんせー遅いってばよ!」
「毎回遅刻なんて、いい加減にしてくださいよー!」
「いやー悪い。今日は……目覚まし時計が壊れちゃっててさあ」
「あ!今ちょっと間ァあったってばよ!」
「あやしーい!」
「チッ…おい、早く行こうぜ」




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