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バレンタインデーキ、ィ、ッス!
2012/02/14 23:12
 ザザザと今は比較的穏やかな海を滑るように進む船。その甲板に真っ赤な男が一人、水平線をジイと眺めて、船縁に佇んでいた。無心に海を見つめる姿は端から見ればやたら不機嫌にしかめられた厳つい表情を湛えているが至って本人は平静だった。時々僅かに蠢くコートの中。真っ赤な男の無骨な手が覗いた。ビュンッ、と風を引き裂く音に、ビイィン、とした低いナイフが撓んだ音が低く聞こえる。直後、物騒だなとマスクを通して微かに低い声が