終礼がおわる。
「はぁ…」
今日は散々な1日だった。あの事は蔵ノ介しか知らないし、目も腫れなかったから誰にも気づかれなかった。
友達にも心配はかけたくはなくて言ってない。
(今日は一人で帰ろう…)
テニス部は今日は休みの日だったが、一人になりたくて友達に嘘をつき、そそくさと学校をでた。
うつむきながら家の方面に歩く。
(家に帰って落ち込んでたらお母さんになんか言われるかもなぁ…)
そう思って鞄から携帯を取り出すと、母親に
"今日、友達と約束があるから帰り遅くなる!晩御飯先に食べてて!"
と、メールを送った。
そして携帯を閉じると近くの公園にそのまま寄った。
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公園のなかは意外と閑散としていて、殺風景な分、落ち着く雰囲気をかもし出していた。
入り口のすぐ横にあるブランコに歩み寄り、座る。
「はぁ………蔵ノ介と釣り合ってないかぁ…」
先輩に呼び出されたという恐怖より、そう言われたことがショックだった。
(やっぱり、蔵ノ介のこと好きやったんや……)
「梓捺!」
「く、蔵ノ介!?」
入り口の方を見ると蔵ノ介が心配そうな顔してこちらを見つめとった。
「なんでここにおるのが分かったん?」
「自分、放課後様子がおかしかったからなぁ。つけてきたんや」
「おかしかった…?ごめん、心配させて……」
周りには分からないようにしてたつもりだったのに。…きっと眞柚にもバレているんだろう。夜あたりに電話がきそうだ。
そんなことを考えとると蔵ノ介が隣のブランコに腰をおろした。
「あぁー…慰めに来たのに落ち込ませたらあかんわな」
笑いながらそう言って空をみる蔵ノ介を見ると心臓がバクバクと騒ぎ出した。
(な、なんで!?なんでこんなに脈打つん!?)
咄嗟に目を逸らすと視線を感じた。
「どないしたん?」
「い、いや、なんでも…そ、そういえばさ!なんでお昼休みの時、私があそこにいるって分かったの?」
「四時間目の授業の時に梓捺が白い紙見てから様子がおかしくなったから気になったんや。だから、追いかけたんや」
「また見られとったんかーっ!蔵ノ介見すぎや、私のこと好きなんちゃうか?」
笑いながら冗談半分でそう言った。『なにアホなこと言うとんねん』とか言われて笑われるに決まっとんのに…。
「………好きやで」
ほら、やっぱりそう返ってく………!?
「い、今なんて…?」
「好きや。梓捺付きおうて下さい」
「ほ、ホンマに!?」
「何回言わせんねん、むっっちゃ言うの恥ずかしいんやで?」
「だっ、だって!わ、私なんか蔵ノ介と釣り合わへんし…」
真っ赤な顔を下に向けて制服のスカートをギュッと握る。ガシャンと鎖の擦れる音がしたと思ったら、その手の上に蔵ノ介の手が重ねられた。
蔵ノ介は隣にしゃがみこんでいて、梓捺の顔をのぞき込んでいた。
「先輩達に何言われたんかは知らんけど、気にしたらアカン。釣り合うとか釣り合わないとかそういう前に、俺はそんな大層な奴やない。ごく普通の家庭に生まれてごく普通の生活を送っとるごく普通の学生や。せやから俺に普通に接してくれる梓捺を好きになったんや。」
「そうか…」
「もう一度聞くで?俺と付き合うてくれへんか?」
「………うん。」
「ほんまか!?」
「当たり前や!……私も好きやったから、断る理由なんてあらへん。」
そう言い終わると同時に蔵ノ介が立ち上がり目の前に立った。ビックリして、蔵ノ介をブランコに座ったまま見上げていると、急に手を引かれた。横に置いていた鞄が倒れる。私は蔵ノ介の胸に飛び込む感じで倒れる。そのまま抱きしめられた。
胸がきゅんとなる、という感覚を初めて味わった気がする。
「ちょっ…蔵ノ介?」
「もう一回言ってくれへんか?」
「"断る理由なんてあらへん"?」
「その前や」
「あっ…、"私も好きやった"」
「そうや。…なんで過去形なんや?」
「今は大好きやから」
「あ、あんま、可愛いこと言うなや!」
「く、蔵ノ介は違うん?」
「俺も大好きに決まっとるやないか」
「ふふっ、ありがと」
鼓 動
(早くなったのは彼を好きな証拠)
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中編なのでとても短いです。しかも文才が無いのでとてつもなくありがちです。
ほんっとうにごめんなさい。今まで見てくださった方、ありがとうございました。
次話はエピローグです。後日談です。
ちなみに三作目の執筆開始しますが、白石でヒロイントリップものです。おそらく中編だと思われ。
また見てやってください。
ちなみに最近きゅんと来たのは某ゲーム実況主(男)がホラゲーやってる時に
出した声が可愛くて、えr(殴
……なんでも無いです。
遊詩
完