高校に入って数ヶ月が経とうとしていた。ある程度高校生活にも慣れ、眞柚、謙ちゃん、蔵ノ介、私の4人の仲も以前よりも良くなり、大分打ち解けていた。

そんなある日の昼下がり、私達はいつもと同じように屋上でご飯を食べていた。

「はぁ…」
「梓捺ちゃん?どないしたん」
「この子、朝からずっとこんなやねん」
「…もうすぐ」

蔵ノ介が頭を傾げる。

「もうすぐ期末テストやんな」

と、梓捺がポツリと言う。一同がせやな、と梓捺を見つめる。

期末テストの約1週間前だった。

「前回の中間テスト、めっちゃ悪かってん。もし今回も悪くて留年してしもうたらどないしよ思て…」

今にも泣き出しそうな顔でうつ向き、スカートを握る。

「留年て大袈裟な…」泣かんといてぇなと、謙也が梓捺の頭を撫でる。

「しゃあないな、梓捺、特訓や!」
「特訓…?」

涙目で蔵ノ介のほうをみる。蔵ノ介はにこりと笑う。

「今日から放課後毎日、テストが終わるまで教えたるわ!」
「…本当?」
「おん!俺らかて、梓捺がおらんなるんは絶対嫌やからな!」
「ありがとう蔵ノ介っ!よろしくお願いします!」

さっきまでとは一変し、梓捺は笑顔になった。

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「狭いけど気にせんといてな?今、飲み物もってくるから適当に座ってくつろいどき?」
「あ、うん!ごめんね」

男の子の部屋は初めて来たが、友達だから特別緊張はしなかった。蔵ノ介の部屋は彼の性格が現れているようで見ていて楽しい。

とりあえず部屋の中央にある円卓の側に鞄をおき、座る。

しばらくキョロキョロしていると、階段を上がる音が聞こえた。

「すまん、梓捺!開けてくれへんか?」
「おん。」

ドアを開けるとジュースとスナック菓子の乗ったお盆を持った蔵ノ介が立っていた。彼を部屋にいれ、ドアを閉める。

「ちょっと話でもしてから勉強しよか!」
「おん!」

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20分前、少し世間話をした後に勉強を開始した。…だが、

「ここにxを代入したら、yは何になるか分かるか?」
「4?」
「あー、ちゃうねん。2を移動させたら−2に符号が変わって、答えが3になるんやわ」
「また同じ間違えしてもうた…」

何度やっても結局間違えてしまい、勉強が全く進まない。
落ち込む私に「でも、解き始めよりどんどんできてきとるで?」と、頭をなでながら励ましてくれる蔵ノ介に「ほんま、手間かけさせてごめんなぁ!」と謝る。

「ええねんて!続きやるで!」
「なんか成績上がる気がせぇへんわ…」
「マイナスなことは考えたらあかんで?楽しいこと考えんと!」
「楽しいこと?」
「そやな…どっか行きたいとことかあるか?」
「遊園地!」

長らく行ってなかったので、前々からいきたいと思っていた。

「遊園地か!そんならテスト終わったら遊園地行こか!」
「!!ええの!?」
「おん!せやから勉強頑張ろう!」
「やった!!頑張る!」

不思議と、テストを頑張ったら遊園地に行けると考えると勉強に耐えれた。

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図書館や蔵ノ介の家で勉強をして数日後、テストの日を迎えた。

「やっと終わったわ!!」

と言う謙也の声に、実感を感じる。

「梓捺、ちゃんと出来たか?」

と、心配そうに聞いてくる蔵ノ介に

「いつもより全然できたわ!蔵ノ介のお陰やで?ありがとな!」

と、返した。

「お、おん!役に立ててよかったわ!」

蔵ノ介は嬉しそうに笑っていた。

危機
(回避!)
 
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みんな頭良さそうやわぁー!
金ちゃんはともかくね(笑)

てか、むしろ部員全員でテスト前は金ちゃんに勉強教えてそう(笑) 

遊詩


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