「如月ー、ちょっとええかー?」
「ええよー」
おい白石、ソイツ俺の彼女やぞ。

「なぁなぁ如月!俺また速うなったよな!?」
「せやな!さすがはスピードスターやな!」
黙れ謙也。死なすど。

「…先輩、頭撫でんといてくれます?」
「えへへー!金ちゃんもええけど、財前くんみたいな生意気な弟のほうがいいなっ!」
財前、幸せやな。…死なすど。

俺の彼女はテニス部のマネージャーをやっとる。
だから、他の部員と仲良うするんはええけど…

なんか、仲良すぎるんちゃうか?

……腹立ってきたわ。


はぁ…と、ため息をつくと「ユウくん大丈夫なん?」と、心配してきた。

「だ、大丈夫やで!練習しようや!」
「せやね…ユウくん、悩んどるんやったら相談のるで?テニスも身ぃ入っとらんみたいやし」
「…聞いてくれるか?」
「アタシに任しとき!」

これ以上小春に心配かけるわけにもいかんし、その誘いに俺はのって部室に行った。

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椅子に座ると小春が最初に口を開いた。

「まぁ、大抵誰のことかは予想はつくで?」
「梓捺のことや…」
「だろうと思ったわ。でも、喧嘩とかやないんやろ?さっきも普通に話してたし…」
「アイツは白石が好きなんやろか?」
「?」
「謙也が好きなんやろか?いや、財前が好きなんかな…」

どんどん悩んでることが吐き出される。小春やから相談できるんやなぁと、改めて親友のありがたさを痛感しながら思ったことを全て口に出す。

「いやいやいや、如月ちゃんはユウくんと付き合うとるやん?だからユウくんが一番好きなのは変わらへんやろ?」

と、俺の言葉に戸惑ったように言い返してくれる。

「そう思いたいんは山々やけど、なんか…アイツらと話してる梓捺の方が俺と話しとる時より自然に笑うとるんや…」

俺と話してるときの梓捺はどこかぎこちなくて、目も会わせてくれないときがある。そして、そっけない。

「勘違いとちゃうん?見るからに一途なタイプやと思うで?」
「……」
「…ユウくん、悩んどるんやったら解決してやろうと思ってたけど、それは直接如月ちゃんに聞かなあかんことやで?別れたいわけやないんやろ?」
「あ、当たり前や!俺には梓捺しかおらん!」

別れたいなんて一度も思ったことなかった。

1カ月前、白石の『お前ら、両思いやで?』という一言から付き合うようになって、梓捺が自分の彼女だと考えるだけで心が満たされてるような気分になった。
そして、絶対別れない。大切にしたる!とも誓った。


だからこそ、些細なことが気になりだした。


難しい顔をしていると、小春が「ちょっと待っててな?」と、部室を出ていこうとした。

「え!?なんで置いていくん!?」
と、聞くと
「ユウくんは座っといてな?部室からでたらダブルス解散やで?」と、いうもんやからおとなしく座った。
「それでええ」と、笑って行った小春は部室を出ていった。
いや、小春さん恐いわ。

数分後、かチャリとドアの開く音がした。目を向けるとそこには彼女であり、部のマネージャーでもある梓捺が立ってた。

「ゆーくん。小春ちゃんから話あるって聞いたんやけど…」

少し困ったような顔でこちらを見る梓捺。あぁ、今日もかわえぇわぁ… やなくて!

「ちょっと座り」
「お、おん…」

ドアを閉めて、ちょこちょこと目の前の椅子に座る梓捺。

不思議そうにこちらを見つめる彼女に、俺は意を決して尋ねた。

「梓捺はさ、誰が好きなん?」
「へ?」

そう聞かれたのが予想外だったらしく、すっとんきょうな声を出す梓捺。

「…ゆーくんしか好きじゃなかよ?」
「ほんまか?」

こくこくと、頭を上下にふる彼女。

「じゃあなんで部活の時とか俺と話してるときより他のやつと話してるときの方が楽しそうやねん。」
「そ、それは…」
「それに、あんまし俺と話したがらんようにしてる風に見えるんやけど?」
「ちゃうねん!」
「無理せんでええんやで?他のやつを好きになったんならそれは言うてくれれば…別れたるからな?」
「わ、別れるとか言わんといてや!…別れたないわ!なんか今日、ゆーくんおかしいで!?」

目に涙を浮かべて見てくる梓捺を見て少し落ち着いた。

「あ…すまん。一人で暴走してもうた。」
「ええよ、…ゆーくんに誤解されるような行動とってた私が悪いんや、、」
「誤解?」
「あんな…ゆーくんと部活のみんなと接してるときが違うのはな…ゆーくんが…その……」
「なんや?」

今度はちゃんと聞いてあげるために優しく聞いた。

「か、かっこいいから緊張してしまって…」
「は…えっ!?」
「ゆーくんの目を見るのも恥ずかしくてっ、頭が働かんくなって…う…上手く話せないからそっけなくなってしもて…」
「あぁっ、もう言わんでえぇ!!なんや、恥ずかしくなってきたわ…」
「も、もしかして…ゆーくんは嫉妬してくれてたん?」
「あ、当たり前やろ!」
「うれしいな…」

ニコりと微笑む彼女に顔が真っ赤になりそうになる。

「ごっ、誤解も解けたから部活に戻るで!」
「そうだね!」

がチャリと扉を開くと部員が部室になだれ込んできた。

「おまえら…盗み聞きか」
「い、いや…カップルが部室で何やっとんのか気になってな…」
と、白石。

「…まさか先輩が嫉妬しぃで寂しがり屋の構ってちゃんだとは思いませんでしたわ…」
あからさまに引いてますみたいな顔をしながらいう財前。

恥ずかしさでいっぱいいっぱいだった。

「お前ら!死なすど!」


好きすぎるねん!
(だから堪忍な?)


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地味にユウジ好き(*^^*)
嫉妬してふてくされたら可愛いなと☆

あと、書いてて思ったんだが
関西弁×控えめ な女の子って最強じゃね?

遊詩