あ!あんな所にわが部のイケメンが…

「おーい!帰るの早いね!」

黒髪の彼は耳元のピアスを揺らしながらこちらを怪訝な顔で見る。あぁ、明らかにウザがられてるなぁ

「…おつかれさまっす」

蔵ノ介なんて今部室に着替えに行ったところなのに本当にこの子着替えるの早いなぁー…って、

「待ってや!」

思いっきり手首を握ってやった。今日こそは言うんだ!だから逃がすわけにはいかない!!

「なんすか?はよ帰りたいんですけど…」
「いっ、いいいっ、一緒帰らへん?」

彼は一瞬目を見開くと「ワケわからへんわ…」と呟きながら顔を逸らされた。

ん?今、口元が緩んでたような…んなわけないか。ってか

「やっぱあかんか…」

そらそうや、私可愛げあらへんし…光くんにも選ぶ権利くらいあるわなぁ…

「じゃあもう帰るわ、さいならー」後ろ手に手を振りながらその場を去ろうと歩きだした。なんでやろ、胸がいたい。失恋の痛みやろか?

「まってや先輩!」

左手首を仕返しかと思うくらい強く握られる。痛いわ。でも、先輩として痛がるのはプライドが許さないから「なんや?」といつもの顔で光くんをみた。

「一緒帰るわ。だから、そない悲しそうな顔せんでくれますか?」

…え?あ、上手く…いつも通りの顔できてたと思ったのに…

「一緒にかえってくれるん?」

涙もでてきてもうた。もう、ぐしゃぐしゃや………!?目の前が真っ暗になり、暖かいもので包まれてる気分。なんやろこれ…涙のせいで考えることもままならんわ

「先輩。今度は泣くんも止めてくれはる?」
「…誰が泣かしたんよ…嬉しすぎて涙止まらへんわ」

両手を目の前に伸ばし空を掴むようにした…光くんに抱き締められとったんやな…それが分かって彼を抱き締める力を強めた。

「先輩。もっと泣かしたろか?」
「…もう泣いてしまってるから今なら言ってもらっても変わらへんで…?」

なんか日頃の不満でも言われるんやろか?うるさいやら、デブやら、ブスやら…

「俺、先輩のこと好きやで?」
「…うそやろ?」
「なんでこないなシーンで嘘言う必要あるんや」「泣かすため?」
「そんなドSちゃうわ、アホ」
「先輩にアホ言いなやアホ〜っ!」

あかん、涙が大洪水や。仕返しや、光くんのシャツで涙が拭いてビショビショにしたるわ!

「…先輩、涙拭くのはええけど、鼻水だけは勘弁してな?」…なぐったろかコイツ。

「鼻水なんかつけへんわ!」
「なぁ、先輩も言うたってや。」
「…何をや」
「俺のことどう思っとるか」

…鼻水つけたろか?ま、今日は許したろ…

「私も、光くんのこと好きやで?」
「『くん』は要らん、梓捺」

な、名前を耳元で好きな人に呼び捨てされるとこない破壊力があんねんな…

「っ!!…光のことが好きや!」
「わかっとるわ。そろそろ帰るで」
「…なぁ、殴ってええか?」

Shall we...? 
(あなたと一緒なら…)

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光くんはツンデレだよ(^q^)
てか、キャラ崩壊(笑)

+-+-+-+-+後日談+-+-+-+-+

「そういえばあの時、私が『一緒に帰らへん?』て聞いたとき『ワケわからんわ』って言ったのってなんで?」

「最近自分、部長と一緒に帰りよったやろ?」

「あぁ、なるほど!嫉妬かいな!」

「…ちゃう。」

「いっつも光の帰るスピードが自称スピードスターより速かったのも、私が蔵ノ介と一緒に居るのを見たくなかったからか!」

「ちゃうわ。」

「光呼びを強制させたのも私が蔵ノ介って呼んでるからか!」

「…ずっと部長を好きなんやとおもっとった」

「そらないわ!蔵ノ介とは従兄弟なんやし!」

「は?」

「あら?知らんかった?」

「初耳やわ…」

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