翌日から俺の生活から
円堂が消えた。

朝の登校も帰りの下校も
木野と帰りたい、と遠慮がちに言ってきた。
俺は快く了承した。
表面上では。

裏では煮え立った嫉妬心と憎しみが
募っていき、大きくなっていった。

(まるで比例だ)

円堂と木野の仲が深まる程
俺の嫉妬心も深まっていく。

俺は嫉妬心と憎しみで狂ってしまいそうだった。

そんな苦しみに押しつぶされそうになっていた
ある休み時間、噂を友達から聞いた。

「なあ、風丸、聞いた?」
「何が?」
「あの仲良しカップル、
喧嘩したんだってよー」
「………!」

仲良しカップルとは
円堂と木野のことだ。
既に学年…学校公認の仲であり
仲の良さから仲良しカップルと
呼ばれるほどであった。

思わずその噂に
ガッツポーズをしてしまった。
余程狂っているのだろうか。

(このまま別れちまえばいい)

そんなことを思ってしまう自分が
一番大嫌いだ。





ゆっくりと1日が過ぎていき、
帰ろうと身支度を始めると
「風丸!」と呼ぶ愛しい声が聞こえた。

間違いない。

「円堂…………!」
「今日、一緒に帰らないか?
…相談したいこと、あるんだ」

やっぱりな。
予感が的中してがっかりしながらも
円堂と久しぶりに一緒に帰れる喜びに浸った。

高速で支度をし、
円堂の元へ駆け寄った。



何日振りだろうか。
円堂の隣に立って帰るのは。

顔がにやけるのを抑えるために
顔を強ばらせていると
続いていた沈黙を円堂が破った。

「あのさ、俺秋と喧嘩したんだ」
「(名前呼び始めたんだ)
うん…で?」
「どうすりゃいい?」

もう無理だ、別れろ。
そう言いたかったけれど、
俺は円堂を悲しませることはできない。
まだ、円堂が好きな気持ちは残っているから。

俺は嫌われたくなくて
「素直に謝ればいい」と
助言をしてしまった。

「うん、やっぱそうだよな…」
「まあ頑張れよ」

本心では無い言葉をかけると
円堂はニカッと笑った。

「ありがとな!
お前が友達で良かったよ!」



ぷちり。



頭のどこかで
何かが切れる音がした。

円堂と一緒に居たくない。
いればどうにかなってしまいそう。

俺は「今、謝りに行けよ」と
憎しみに覆われた顔を見られないよう
俯きながら言った。

「へ、今…?」
「ああ。善は急げとか言うだろ」
「そ、そうだな…。
うん、そうする!ありがとな!」

そう言って手を振りながら
円堂は走り出した。
きっとこれから木野を電話で
ある場所へ呼び出すのだろう。
俺は家に帰らず、
そのままある場所へ先回りしようと急いだ。


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