※ NOT ハッピーエンド



俺は、円堂が好きだ。

俺と円堂は幼なじみで
昔から、ずっと、ずっと一緒に居た。
それは今も変わらずだ。
いつの間にか俺は円堂のことを
友達としてではなく、
1人の男として好きになっていた。

中学に入っても
俺は円堂といつも一緒に居た。
想いを伝えられないまま。



「風丸!」
「えっ………ああ、何?」

いつの間にかぼーっとしていたみたいだ。
いけない、円堂に心配させてしまう。

「どうした?」
「何でもないよ」
「本当かよ」
「うん。今日の弁当のおかずのこと考えてた」

苦し紛れの嘘を言うと
円堂は「なんだそれ」と言って
太陽のような笑顔を見せた。
思わず顔が綻ぶ。

だからこそ気が付かなかった。

この先の曲がり角に
女子が居たことに。



気が付いた時には
円堂が女子に思い切りぶつかってしまった。

ドンッ

「うわっ!」
「きゃっ!」

目の前で男女が尻餅をついてしまった。

「ふ、2人共大丈夫か!?」
「おう………」
「う、うん…………」

円堂が自力で立ち上がり
女子に手をかした。

「すまないな!大丈夫か?」
「うん、大丈夫……。
ありがとう」

よいしょ、と小さく言って立ち上がった。

「ごめんね。前、よく見てなくて」
「いや、俺こそ!」

その女子は
学年で可愛くて優しくて有名な
木野秋だった。

「やだ、円堂くん手擦りむいてるよ」
「あ、本当だ。って名前知ってんの?」
「同じ学年だし、元気だって有名よ」

そう言って
木野は絆創膏を取り出して
円堂の手を取った。

「うぇっ!?」
「じっとしてて。貼ってあげるわ」

噂通り優しいらしい。
丁寧に絆創膏を貼った。

「これで大丈夫よ。
あ、遅刻しちゃう。
2人も遅刻しないようにね!」

木野は急いで走り出した。
どんどんと背中が小さくなっていく。

「俺らもいこう…円堂?」

返事が無いのでおかしい、と
円堂の方を振り返ると
木野が走り去った方向を
熱のこもった眼差しで
ずっと見つめていた。

いやな、予感がした。



その後、度々円堂と木野が話しているのを見かけた。
同じクラスだったらしい。

見る度に嫉妬心にかられるが
ぐっとこらえて負けずに円堂に話しかけた。



そして、ある日の帰り道。

その日の円堂は浮かれ気味だった。
夕焼けのせいなのか顔も少し赤い。

「…円堂?どうしたんだ?」
「えー?なんで?」
「なんか嬉しそうだから」

そう、なんか嬉しそうなのだ。
しかしいつもなら円堂が嬉しいと
俺も自然と嬉しくなるのに
今日は何故か胸がざわついている。

「実はな」

ちょっともったいぶって
話し出した。






「木野と付き合うことにしたんだ」






「………え」
「話してる内にさ、木野の笑顔見る度に嬉しくなったり涙を流してると凄く悲しくなるんだ。」

「それが恋なんだって最近やっと気付いたんだ」

「で、今日昼休みに呼び出して告白したんだ」

「そしたらさ、木野もその…俺のこと好きだって」

「超嬉しくてさ…で、付き合うことにしたんだ!…ん、風丸?」
「えっ、あ…良かったじゃないか!
お似合いだな!」

「へへっありがとう」

照れながら笑う円堂は
幸せそうだ。



世界が暗転した。


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