携帯を開いて時刻を確認する。すでに12時を過ぎていた。たしかベッドの中に潜り込んだのは9時だったはず。3時間も寝ずにごろごろとしていたということか。俺は隣に寝ているヒロトを起こさないように静かに起き上がって部屋を出た。



「…はあ」

俺は園内の遊具に腰かけて空を眺めた。真っ黒なキャンバスに、無数の宝石を散りばめたようだ。このもやもやした気持ちが、徐々に洗われていく感覚に陥る。

「緑川」
「っう、わ!!!」

見惚れていると、突如後ろから話しかけられた。思わず叫んでしまった。

「あっ…ごめん。俺だよ、ヒロト」
「…ヒロト?」

目を凝らすと、まず鮮やかな赤が見えて、次に真っ白な顔が見えてきた。真っ暗な中で彼の白い肌は余計白く見えて幽霊のように思えてしまう。

「隣、いいかな」
「…別にいいけど」

そう返事すると、ヒロトは俺の左隣に座った。何か言ってくるのかと思って待ち構える。しかし、彼は無言のままだ。俺も、何も言わない。沈黙が続く。

「俺さ、昔早くに両親が死んだんだ」

突然ヒロトがそう言った。俺は無言で彼の次の言葉を待った。
ヒロトは早くに両親を無くし、孤児となった。身寄りも無かったために彼は孤児院へと入った。学校にも通わせてもらっていた。しかし、同級生からのいじめを受けていた。常に「両親がいないこと」をからかわれ続けていた。そんなことだけで学校では避けられていた。だから友達なんていなかった。
そんな時、孤児院の人から誕生日プレゼントをもらった。

「そのプレゼントが、サッカーボールだったんだ。俺はサッカーボールを蹴り続けた。友達がいない寂しさを、サッカーで埋めたんだ」
「…そうだったんだ」
「ずっと毎日やってたからね。まあ結構上手くなったんだ」

だからあんなに上手いのかな…と頭の隅で思った。それからはサッカークラブに入って本格的にサッカーを始めたそうだ。

「…ごめん、そんな過去があるなんて知らなくて」
「はは、別に悲しい過去でもないさ」

ヒロトは笑って受け流した。
なにしてるんだ俺は。ヒロトは努力している。なのに才能があるからなんて八つ当たりなんかして。馬鹿みたいだ。

「ごめん、ヒロト」
「なにが?」
「その…八つ当たりして」
「ふふ、なんのことかな」

ヒロトは知らんぷりをして俺の頭を優しく撫でた。暖かい。

「…ヒロト、ありがとな」
「どういたしまして」

ヒロトは優しく笑った。俺はその笑顔を見て、心臓がどきりと脈打った気がした。
って…なんでどきっとかしてるんだ?少女漫画じゃあるまいし、第一ヒロトは男だし、宇宙人だろ?おかしいだろ?

「おっ俺は認めなーい!!」
「え、なにが!?」

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