「はじめまして、基山ヒロトです。よろしく」

手短に挨拶を済ませるなり、周りから黄色い悲鳴が湧き上がる。もちろんそんな悲鳴を上げているのは女子だけで、男子はげんなりしている。俺も同じく男子で、この状況にはげんなりしている。

昨日、俺に向けた笑顔を浮かべている赤髪の少年は、基山ヒロト。宇宙人、らしい。
そんな彼は、今日からエイリア学園の仲間入りとなる。



「ねえねえ基山くん、アド交換しない?」
「基山くん綺麗な髪だね〜地毛なの?」

HRが終わればクラスの一部の女子がヒロトの周りにたかった。はっきりいって面白くない。今すぐあの女子たちにこう言ってやりたい。「あいつは宇宙人とか言っちゃってる、イタイ奴なんだぞ!」と。しかしそんなこと言う気力も度胸もないので、黙っている。

「ごめんね、ちょっとトイレ行きたいんだ」

そう言うとヒロトは立ち上がって、女子たちをかき分けて俺の前まで来た。

「行こうか、緑川」
「え、あ、…うん」

されるがままに俺はヒロトに連れていかれる。
しばらく廊下を進むと、ヒロトは振り向いて困った笑顔で「たすかったよ」と言った。何のことだかわからなくて首を傾げたら、ヒロトは「女子に囲まれるのは、あまり慣れてなくて」嘘だろ。と言いたくなったがその言葉は飲み込んだ。

「そういえばヒロト、ずっと疑問に思ってたことがあるんだけど」
「なに?」
「この学園の生徒はいわゆる記憶操作、しなくていいの?」

そう言うとヒロトはきょとん、という言葉通りの表情をして、そののちくすりと微笑みをこぼした。えっ?と思わず声をもらすと、ヒロトは「記憶操作は力がいるからね、この学園は生徒がすごく多いから大変なんだ。だから、転校ってことにしといたんだよ」とくすくす笑いながら答えた。何故笑っているのかがわからなかったが、とりあえず納得はした。

それからもうひとつ疑問なんだけど。
宇宙人って、制服着て学校に行くの?
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