「えーっと…じゃあ、幽霊、なのか?」
「ああ」

力いっぱい頷く少年。彼はどうやら、幽霊らしい。
と言われても正直信じられない。どうみても人間だし、第一俺には霊感はない。皆無である。
しかし彼は自分は6年前に死んで、それからここに居るのだという。俺はそれから彼のことを聞いてみた。

彼の名前は風丸一郎太。6年前には中学二年生だったらしい(だから雷門中の制服を着ているのだという)。ここに幽霊が出るという噂は聞いたことがあるらしい。ちなみに長い髪は合っているのだが、女ではなく男である。何故か間違えられているので、毎日憤慨しているらしい。俺はそこにちょっと笑ってしまった。
他にも中学二年生の頃はサッカー部に所属していて、ポジションはDFだったという。本当はもっとサッカーがしたかったのに。そういう悔しさから、成仏できずにこの教室からいつもサッカー部の練習風景を眺めているそうだ。

「…ってそんな漫画のような話信じられるかよ!」
「事実なんだよ、円堂」
「え、なんで俺の名前知ってんの?」
「サッカー部見てたから。お前のこと結構知ってるぜ?俺」

そう言って笑う風丸は、やはりどう見ても人間で、幽霊とは思えなかった。風丸は得意げに話し出した。

「GKで、サッカー部のキャプテン。いつも元気いっぱいで明るくて、…そんなに知らなかったな、お前のこと」
「じゃあこれから知ろうぜ!」

風丸は呆けて首を傾げた。俺は手を差し伸べる。多分幽霊だから触れられないけど、気持ちさえこもっていればいい。風丸もそのことを察したのか、おずおずと手を差し伸べてきた。
俺の手と風丸の手が触れ合うことは無かったが、確かに気持ち、心は触れ合ったような気がした。

「これからよろしくな!」
「おう」

俺は幽霊と友達になった。


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