俺が大学1年生になってから数ヶ月が経った。そして、一人暮らしを始めてから、同じくらいの月日が経った。
カレンダーに書かれた数字を見て、しみじみとそんなことを考えた。
俺は日課である、昨日の日にちに斜線を引く作業をした。自然と今日の日付の欄に書かれた文字を見つけ、頬を緩めた。
「(…早く来ないかな)」
俺は『守の誕生日』と書かれた字を指でなぞった。
俺が大学生になる前に、一人暮らしをすると決めた。
『俺、毎日通いつめるから!』
そう言って意気込んでいたのを今でも覚えている。
その言葉通り、守は毎日俺の家に部活帰り寄っている。疲れているはずなのに、わざわざこっちまで電車で来てくれることが素直に嬉しい。
だから、今日は守にたくさんお礼をしたい。そう思っていた。のに。
ピンポーン
「…お、きたな」
毎日大体決まった時間に鳴るチャイム音で、誰が来たかわかってしまう。確認するまでも無く、ドアを開けた。
「やっほー、いち兄!」
「守、いらっしゃい」
守の満面の笑顔に俺もつられて笑顔になった。守は自分の家のように慣れた手つきで家に上がった。
「はー、疲れた!」
「お疲れ様」
おっきな溜め息をつきながら勢い良くベッドに倒れ込んだ。
守は中学時代同様にサッカー部でGKとキャプテンを務めている。疲れるのも仕方ないだろう。
俺は守の隣に座り、テーブルの上に置いておいた袋で守の頭を軽く叩いた。
「こら、寝るな」
「う…ん、?何それ」
「誕生日プレゼント」
そう言った瞬間バッと顔を上げ、キラキラと期待に満ちた目を俺に向けた。
「え、くれるの?」
「当たり前だ。あ、高いもんじゃないが…後ケーキもあるぞ」
「開けていい?」
そう言いながら守は袋の口を縛っているリボンを解いた。呆れながらも「いいよ」と言った。
「おー、タオル!」
「お前、前にタオルが足りないとか言ってただろ?だから」「ありがとう愛してるいち兄!」
言葉を遮った上に勢いよく抱きついてきた。思わずバランスが崩れ、ベッドに倒れ込んだ。
「…っ、おい気をつけろよまも…」
る、と口は動いたのに声が出なかった。
何で、そんなにも熱っぽい目で俺を見るんだよ
守、