「なあ豪炎寺、どうしたらいい?」
「…何がだ」
1つの机で向かい合ってる俺と豪炎寺は、騒がしい教室と打って変わって神妙な面もちだ。
「豪炎寺、俺好きな人がいるんだ」
豪炎寺の目がスローで見開かれていく。普段見られないような表情だ。
「…円堂に恋なんて出来たのか」
「失礼だな!」
「冗談だ」と豪炎寺はほくそ笑んだ。
「で、誰が好きなんだ?」
「…お、幼なじみ…」
もちろん豪炎寺は俺の幼なじみに会ったことがない。興味が無さそうに「そうなのか」と相槌を打った。
「で?」
「幼なじみ、3歳年上なんだ」
「…ということは今中学生か」
驚くかな、と思ったらさほど驚かなかった。冷静に豪炎寺は中学生と計算した。
「で、年上だからどうした?」
「…子供扱いするんだ」
「当たり前だな」
ドスッと言葉が突き刺さり、俺は机にうつぶせになった。
「…そんな正直に言わなくても」
「仕方ないじゃないか」
「…豪炎寺はわかるか?子供扱いされずに俺を振り向いてくれる方法」
視界が机いっぱいのままで豪炎寺に聞いた。
「わかるぞ」
「!」
俺は光の速さでガバッと起き上がった。目の前には豪炎寺の不適な笑み。
「大人になれ」
「無理だろ!」
「冗談だ」
俺は大きい溜め息を吐いて「お前の冗談はわかりづらい」と言った。
「まあ、もう少し大きくなって
年の差を感じさせなくしたらどうだ?」
「年の差…ねえ」
「例えば小学生と中学生、中学生と高校生だとなんか違いが大きい気がするだろ?」
確かに。俺はこくり、と頷いた。
「でも高校生と大学生だとなんか年の差が少ない気がするだろ」
「…それまで待てと?」
「ああ」
「それに、」と豪炎寺は付け足した。
「18歳になったらまた告白するんだろ?」
「………!な、何で知って…」
「あんなに大きな声で言っていたらな」
湯気が出るくらい上気してくるのがわかる。
「じゃ、じゃあ相手も知って…?」
「ああ。一応な」
「〜〜〜〜〜〜〜!!!??!」
俺は羞恥心に堪えきれず、またうつぶせになった。
「いい相手だと思うぞ」
「…う、うるさい…」
頭上でフッとキザったく笑う豪炎寺の声が聞こえた。
「(豪炎寺には叶わねえ…!)」
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番外編、相談する守くんと冗談を言う豪炎寺くんです。豪炎寺が最初に驚いたのは、未だに好きなのを知らなかったから。