「じゃあ今着てみるか?」
「うん!」
いち兄は学ランのボタンをはずし始めた。
全てはずし終わると丁寧に脱いで、白いシャツ姿になった。
「はい」
俺は手渡された少し暖かい学ランを丁寧に、ゆっくり腕を通した。
両腕を通して腕をぴんと伸ばす。
「あ!一年前よりもぴったりだ!」
「本当だ。良かったじゃないか」
よしよし、と頭を撫でられる。何だか子供扱いされてるみたいで悔しい。
「こ、子供扱いするなよ!」
「してないしてない。
…というか守はまだ子供だろ」
はは、といち兄は笑った。俺は頬を風船のように膨らます。
「子供じゃねーよ!」
「はいはい。そうだな」
また頭を撫でられた。絶対そう思ってない!
「…っと、いつの間にか着いたな」
時間が過ぎるのは速いもので、気がつけば俺の家が目の前に居た。
「ほんとだ…」
「…どうした?」
「…もっといち兄と一緒に居たい」
俺はぷい、とそっぽ向いた。きっと今頃いち兄は苦笑しているだろう。
「家が近いんだからいつでも会えるだろ?」
「…そうだけど」
いち兄を困らせているのはわかってる。でも、自分の本能が認めてくれない。
いち兄は屈んで俺よりも目線を下にすると花が咲くようにふんわりと微笑んだ。
「また、遊んだり喋ったりしような」
「…約束、だよな?」
「おう。男同士の約束だ」
歯を見せていち兄は笑いかけた。俺も笑顔を見せる。
「約束、だからな!」
「ああ!」
「じゃあな」
「じゃあなー!」
いち兄は手を降って歩いて行った。
大きかった背中は次第に小さくなっていく。
「…いち兄…」
やっぱり、どうしようもなく好きだ。
俺は遠くなっていく背中に
いつまでも手を降り続けた。
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ただ守くんが寂しいだけ!な話。
相変わらず内容薄いです。