「風丸ー!」


遠くから緑色の髪をポニーテールに結い上げた少年が手を降りながら駆け寄ってきた。後ろにはドレッドヘアの少年が優雅に歩いている。


「…………あー…」
「…何だよ、緑川」
「髪、短い…」


俺が髪を切ってから初めて登校した日以降、緑川はずっとこんな感じだ。


「いいじゃないか、さっぱりしてて」


そこに鬼道がフォローを入れた。が、緑川は相変わらずうなだれている。


「なんか裏切られた気分だ…」
「裏切ってねえよ」


緑川の様子が面白くて、口元を緩めた。


「緑川も切ったらどうだ?」
「き、鬼道!何て事を言うんだよ!」
「冗談だ」
「お前の冗談わかりにくいよ!」


じゃれあう二人の姿を見ていると、まだ中学生だと勘違いしてしまいそうだ。

小学校からずっと一緒の緑川と共に入部したサッカー部で鬼道と出会い、仲良くなった。当初は中学生にしてはクールな一面が多かったが、親しくなる内に度々冗談を言うようになった。それだけ仲が良くなったという事だろう。


「(まあわかりづらいんだけどな…)」

きりがないので、そろそろ止めてやろうと口を開いた。


「そういえば、二人は何部に入るんだ?」


一斉に二人がこちらを向いた。表情が「何を今更」と言っている。二人は同時に口を開いた。


「サッカー部!」
「サッカー部だ」


予想通りの返事に満足し、「俺も!」と言った。


「本当は早く入部したいけど、今は体験入部期間だもんなー」
「しかもやたら長いしな」


雷門中は私立とはいえ中学校であるから部の数が少なかった。だが、雷門高は部の数が多くなり、同好会も含めればかなりの数になるのだ。で、体験入部期間を長くしてちゃんと部が見れるように配慮しているらしい。


「中学は既に仮入部も終えて今週から開始らしいぞ」
「え、はやっ!…鬼道詳しいね」
「雷門中に知り合いがいてな」
「俺知ってる?」
「知らないだろうな。ちなみに佐久間と不動っていうんだが」


俺は「あっ」と声を上げた。


「知ってる!守がサッカー上手いって言ってた奴らだ」
「守…あ、あのオレンジのバンダナつけてる子だね」


緑川に対し、こくりと頷いた。鬼道は見たことがないので首を傾げている。そんな鬼道に緑川が疑問を投げかけた。


「そのサクマとフドウって奴らって鬼道の幼なじみ?」
「いや、違う。帝国の時の後輩だ」


鬼道は帝国学園出身で、中学二年生の春に転校してきた。話によればなんとその二人は鬼道を追いかけるために雷門中にわざわざ通っているとか。

「好かれてるねえ」と緑川はニヤニヤと笑っていた。


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