鉛のように重い瞼の裏から、日の光を感じた。眩しくて思わず目をそっと開いた。
日の光は平等だ。憂鬱な奴にも、幸せな奴にも、怒りに満ちてる奴にも平等に降り注ぐ。
それは睡眠不足な奴も例外ではなくー

「…眠れなかった」

こうして重い身体を起こさなければならないのである。



身支度を済ませ、家を出る。いつもならばこの門の先である人物が立っている。そしてオレの名前を呼び、「おはよう」と挨拶を交わす。だが、今日は誰もいない。
きっと、いない理由は、昨日のことなんだろう。
いつもなら短く感じる学校への道のりが短く感じた。



ようやく教室まで辿り着いた。そして手をドアの取手にひっかけて横に押した。気が乗らないせいか、やけにドアが重たく感じた。

「…おは、よう」

ドアが開く音と共に聞こえたのは、霧野の声。教室内には人は複数人居て、雑談をしている者が大多数。少しだけ騒がしい中、霧野の声ははっきりと耳へ届いた。

「きり、の」
「………………」

オレは目を見開き、霧野はバツが悪そうに目をそらした。
オレは意を決して自分の席へと歩みを進め、通学鞄を机の上に置いた。そして、霧野の方へ向き直る。霧野はびくりと、身体を揺らした。
オレは緊張で乾いた喉を潤すように唾を飲み込んだ。

「…霧野、昨日のことだけど」
「ごっ、ごめん!」

口を開いた途端、何に対しての「ごめん」なのかわからない「ごめん」を言い放つと、教室を足早に去っていった。
オレは昨日のように、何て声を掛けていいかわからず、足を引っ込めた。そして霧野の顔も、またー



「え、いない?」
「ええ…。…あの子がどうかしたの?」
「…いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

オレは霧野のお母さんに頭を軽く下げて、また歩みを進めた。
参った。てっきりここにいると思ったんだけど…。

あれから、霧野はあからさまにオレを避け続けた。休み時間も、チャイムが鳴った瞬間どこかへ行ってしまう。昼休みも、速水らと食べているのかと思ったのだが、見当違いだった。
そして現在、部活を「体調不良」と言って休んだ霧野を探している。もしかしたら本当だと思って「霧野の体調をキャプテンとしてみてくる」と言ってオレは部活を抜け出した。たぶん嘘だろうけど。
学校にもいない、近所のお店にもいない、家にもいない。一応電話してみたが、もちろん出ない。もういそうなところが思いつかない。ここまで居ないと、本当に体調不良でどこか病院に行っているのではないかと心配になる。
オレはもう一度学校に戻ろうと方向転換したとき、

「…あった。霧野がいそうなところ」

思いついたところはー


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